「“新しいこと”“誰も知らないこと”が無限にあって、その中から自分の好きなものを見つけて熱中し、その中で一番を目指したり、スターが生まれたりしていた父の時代はまぶしく映ります。いまはテクノロジーが進化して、東京でも地方でもWi-Fiさえ飛んでいれば最新の映像も音楽もすぐに見たり聴いたりできる。それはとっても幸せな時代なのですが、一方で新しいものはすぐに拡散されて新鮮な驚きは長続きしない。
父はサザンオールスターズのファンで、新曲が出るたびに買ったレコードを持ってなじみのジャズバーまで走って行ってかけてもらい、『これはスゴイ』と噛みしめて聴いたそうですが、いまはすべて配信されて、みんな好きなときに好きなタイミングで聴くことができる。
にもかかわらず、老若男女の誰もが一曲すべてを歌える歌って、いまの時代はない。ユーミンさんのようにファッションをみんなでこぞって真似するようなスターもいない。もしいるとしたら、アニメや漫画のキャラクターがその役割かもしれない、と思ってしまいます」
※女性セブン2020年10月8日号