複雑な立場に置かれた孫は、陸上競技、マラソンを断念せざるを得なかった。戦時中には学徒志願兵の募集など、対日協力に従事したことも本書が明らかにしている。四五年、朝鮮半島は植民地支配からの「解放」を迎えたが、五〇年に朝鮮戦争が勃発。孫が郷里に帰ることはかなわなくなった。
そののち彼はスポーツ界の要職を歴任。そして八八年、民主化後の韓国でソウル五輪が開催されるに至る。開会式のスタジアムに聖火を持って現れたのは、七十五歳になる孫基禎、その人であった。
※週刊ポスト2020年10月9日号
複雑な立場に置かれた孫は、陸上競技、マラソンを断念せざるを得なかった。戦時中には学徒志願兵の募集など、対日協力に従事したことも本書が明らかにしている。四五年、朝鮮半島は植民地支配からの「解放」を迎えたが、五〇年に朝鮮戦争が勃発。孫が郷里に帰ることはかなわなくなった。
そののち彼はスポーツ界の要職を歴任。そして八八年、民主化後の韓国でソウル五輪が開催されるに至る。開会式のスタジアムに聖火を持って現れたのは、七十五歳になる孫基禎、その人であった。
※週刊ポスト2020年10月9日号