芸能

柳家喬太郎が披露 ほろ苦く懐かしい千葉雅子作『マイノリ』

甘酸っぱく、ほろ苦い『マイノリ』が心に沁みる(イラスト/三遊亭兼好)

甘酸っぱく、ほろ苦い『マイノリ』が心に沁みる(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、初演から9年が経った今年8月にまたしても出会った千葉雅子原作の柳家喬太郎『マイノリ』についてお届けする。

 * * *
 柳家喬太郎は2011年7月8日、女優・脚本家・演出家として活躍する千葉雅子(劇団「猫のホテル」主宰)と初めての二人会「キョンちば」を紀伊國屋サザンシアターで行ない、千葉雅子が書き下ろした新作落語『マイノリ』を初演した。1980年代初頭にアルバイトの面接会場で出会った日大落研の青年と國學院演劇研の女子大生が“友達以上、恋人未満”として青春を共に過ごし、互いを意識しながら落語家と女優として別々の人生を歩んでいく物語だ。

 その後、喬太郎と千葉雅子の二人会は「きょんとちば」と名を変えて2015年6月24日に紀伊國屋ホールで行なわれ、喬太郎は千葉雅子作の『サソリのうた』を初演。さらに2017年7月10日にも「きょんとちば」は紀伊國屋ホールで開催され、喬太郎は千葉雅子作『秘境温泉名優ストリップ』をネタおろししている。この2作も素晴らしかったが、1980年代に大学生活を過ごした僕にとって『マイノリ』は別格の存在だった。

 昨年11月、喬太郎は高座生活30年を記念して下北沢の「ザ・スズナリ」で全30公演の「ザ・きょんスズ30」を行なった。各公演で様々なゲストが登場した中、27日に招かれたのは千葉雅子。喬太郎のネタ出しは『マイノリ』だった。チケット争奪戦は熾烈を極め、他の日は全滅だったが、最も行きたかったこの日だけは確保。8年ぶりに聴く『マイノリ』は甘酸っぱく、ほろ苦く、切なさと懐かしさが入り混じる複雑な感傷をもたらしてくれた。

 そして今年、8月21日に紀伊國屋ホールで「きょんとちばVol.3―マイノリ、ふたたび―」が開催され、またしても『マイノリ』に出会うことができた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン