今年はインフルエンザワクチンが足りなくなる懸念が(写真/Getty Images)
「厚労省の発表によると、2018年度の65才以上のインフルエンザ予防接種実施率は47.9%ですが、今年は例年ワクチンを受けない人も接種する可能性があります。しかも3才から13才未満の子供は原則として、成人分のワクチン量を2回接種する必要があるので、6300万人分ではまったく足りなくなる」(上さん)
子供の場合、1回目の接種から2回目の接種まで1か月ほどの期間を空けることが推奨されている。そのため、流行期の始まりとされる12月までに2回目の接種を終えるには、10月初めに1回目を受ける必要がある。
厚労省がホームページでは、《今年は過去5年で最大量(最大約6300万人分)のワクチンを供給予定ですが、より必要とされている方に、確実に届くように、ご協力をお願いします》と呼びかけているが、この「ご協力」に従うと、子供が流行期まで接種を終えられない可能性があるのだ。
日本小児科学会は「乳幼児はインフルエンザ脳症のリスクがあることから優先順位は高く、小児への接種時期を一律に遅らせることは避けるべき」と見解を示している。久住さんも「子供こそ接種すべき」と指摘する。
「高齢者にワクチンを打っても高齢者がインフルエンザになる人数は変わらないが、14才未満の子供にワクチンを打つと高齢者の感染者が減るというデータがあります。
つまり、インフルエンザは子供から高齢者などにうつる病気なんです。高齢者に打って重症化を防ぐメリットはありますが、社会全体として流行を防ぐためにはまず圧倒的に感染しやすい子供に先に接種すべきです。ワクチンの数には限りがあるので高齢者を優先すると、結果として子供が接種できなくなってインフルエンザが流行します」
※女性セブン2020年10月15日号