モハメド・アリは試合直前、禁欲期間を設けたという(写真/Avalon/時事)
2014年のブラジルW杯では、メキシコのエレーラ代表監督が「禁欲が選手たちのパフォーマンスを最高に高める」として、大会期間のセックス禁止令を出したことが話題になった。だが、同大会ではセックス禁止令を公にしていたチームがすべてベスト16までに敗退。優勝したドイツは、妻や恋人との性行為を許可したチームだった。
ボクシング界では元世界チャンピオンのモハメド・アリが、試合前の6週間、性行為や射精を控えたといわれたこともあってか試合前は「禁欲」という風潮が根強い。
日本人選手は禁欲的
世界のトップアスリートが集結する五輪となれば、さらに禁欲の問題は複雑だ。1988年のソウル大会から選手村でコンドームが配られるようになっていることは知られているが、日本体育協会のスポーツドクターで代官山パークサイドクリニックの岡宮裕院長はこう語る。
「2012年のロンドン五輪の時は、信憑性は定かではないが、海外メディアが『(選手村で)選手の70~75%がセックスをしている』という有名選手の声を伝えている。2016年のリオ五輪で配布されたコンドームは過去最多の45万個で、記念品として持ち帰る人がいたとしても多すぎますね」
アトランタからロンドンまで5大会の五輪に帯同したスポーツドクターの小松裕氏はこう語る。
「欧米や中南米の選手は性に対する根本的な考え方が違うようで、開放的です。選手村のあちこちでボランティアの女性をナンパしているのを見ましたし、部屋に連れ込んだという話も聞きました。夜中に中米の有名男性選手が屋外で堂々とマスターベーションをしているのが見つかって、大騒ぎになったこともあります」
そうした外国人選手に比べると、日本人選手は禁欲的だという。
「選手村にもメディアはいるので女性を連れ込むこともなかなかできないでしょう。2人部屋の選手たちは、マスターベーションができないストレスはあったと思いますが、そこは暗黙の了解で、片方が出かけて独りにしてあげるということはあるようです」(小松氏)