変わりゆく母にも、町子さんは真摯に向き合った(『サザエさんうちあけ話』より。(C)長谷川町子美術館)

 姉妹社が初めて出版した『サザエさん』の第1巻は、当時としては珍しい判型の横とじにしたB5判。「本屋に置きづらい」という理由から売れ行きは芳しくなく、いきなり存続の危機を迎えた。しかし貞子さんは、「型が悪かったんだもの、サイズを変えて2巻を出すのよ」と攻めの姿勢を打ち出し、第2巻は1か月で17万部を売り上げる大ヒットになった。

 この頃から、貞子さんが全体を束ね、毬子さんが出版社を切り盛りしながらプロデュースし、町子さんが描き、文学少女の洋子さんが相談相手として助言するという「長谷川家スタイル」が固まった。

『サザエさん』は、『夕刊朝日新聞』『朝日新聞』と媒体を変えながら連載を続け、1966年には『サンデー毎日』で『いじわるばあさん』の連載をスタート。1969年にはフジテレビで、現在まで続くアニメ『サザエさん』の放送が始まった。

 朝日新聞の『サザエさん』は町子さんの体調不良を理由にしばしば中断しながらも、1974年まで連載が続き、通算回数は6477回となった。その後もペンを走らせ続け『サザエさん旅あるき』などを出版。72才に心不全で亡くなる5年前まで「生涯現役」を貫いた。

※女性セブン2020年10月22日号

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