川越耳科学クリニック院長の坂田英明さん

興味をそそる朗読や落語 “聴く読書”のすすめ

 聴く効用を生かすのにもよいのがオーディオブックだ。興味はあってもとっつきにくかった古典文学から話題の小説まで、ナレーターや有名俳優などの朗読で聴ける。

「音の三要素、高低・強弱・音色のほかに、人の語りには間の取り方や抑揚などそれぞれの個性が表れ、聴くのが心地よかったり強烈なインパクトだったりと、さらなる刺激になります。書籍と同様、次の展開にわくわくして朗読を追いかけるように聴き込んだり、頭の中で物語の情景を思い描いたりと、脳活性には非常に有益です。慣れ親しんだ昔話なら、記憶をよみがえらせる回想法の効果も期待できるでしょう」

 本の文章を目で読むことに比べると、人の声による朗読、物によって効果音や音楽なども盛り込まれたオーディオブックは、入ってくる情報量がはるかに多いという。またなんといっても楽なのが魅力だ。

「ほかのことをしながら楽しめるのも利点ではありますが、脳活性の効果を期待するならゆったりと静かな環境で、ヘッドホンやイヤホンを使って音声に集中するのがおすすめ。心地よい秋の一日、読書を存分に楽しんでください」

【プロフィール】
坂田英明さん/埼玉医科大学卒。ドイツ・マグデブルグ大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長などを経て、2016年より現職。目白大学保健医療学部言語聴覚学科教授、埼玉医科大学客員教授、昭和女子大学客員教授も務める。

※女性セブン2020年10月22日号

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