池上:このところ、インドと日本の間を自由に行き来ができないのが非常に残念です。早く本当に行き来ができるようになるといいなと思っております。
ヴァルマ大使:私も同感です。新型コロナウイルス感染症拡大の初期にインドに帰国した日本在住のインド人は、すでに日本に戻り始めていますが、戻るためには一定の基準があり、それを満たすことが必要でした。同じことがインドに戻る日本人にも当てはまります。この2か月半の間に、航空機15便近くが両国を行き来しています。そのすべてが満席でした。両方向の便が満席です。乗客は、主にビジネス関係者です。観光客による移動はまだ行われていませんが、観光が始まれば、素晴らしいインドを皆さんにお見せできます。
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新型コロナウイルスによって、世界は一時分断された。だが、その裏では次の時代、新たな世界秩序に向けた動きが着々と進んでいる。10年後、50年後、あるいは100年後の世界はどうなっているのか? 少なくともインドは、いまよりはるかに存在感のある国として国際社会の中心を担っているのではないだろうか。
【プロフィール】いけがみ・あきら(ジャーナリスト)/1950年長野生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年にNHK入局。報道局社会部記者などを経て、1994年4月から11年間にわたり『週刊こどもニュース』のお父さん役を務め、わかりやすい解説で人気を集める。2005年にNHKを退職し、フリージャーナリストに。名城大学教授、東京工業大学特命教授。愛知学院大学、立教大学、信州大学、日本大学、順天堂大学、東京大学、関西学院大学などでも講義する。主な著書に『伝える力』『知らないと恥をかく世界の大問題』など。近著に『池上彰の世界の見方 インド』『池上彰のまんがでわかる現代史 欧米』がある。
◆構成/川上康介、写真/五十嵐美弥