ビジネス

リモート疲れは限界レベルに 「第3の居場所」探しが不可欠

在宅勤務のストレスはピークに

在宅勤務のストレスはピークに

 終わりの見えないウィズコロナ時代が到来し、程度の差こそあれ、社会人や学生の在宅ワーク・スタディは定着しつつある。だが、ここにきて“リモート疲れ”が限界に達している人も多いという。その根本的な要因はどこにあるのか。同志社大学政策学部教授の太田肇氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウィルス対策としてリモートワークが取り入れられるようになって半年がたつ。「満員電車で通勤しなくてもよい」「いやな上司と顔を合わせなくてもよい」「子どもの世話をしながら仕事ができる」等々、当初は歓迎する人が多かった。

 大学も大半が4月からオンライン講義に切り替えたが、最初のうちは学生からも「実家で暮らせる」「朝寝坊ができる」という声がたくさん聞かれた。

 ところがリモート生活が1、2か月たったころから、「早く出社したい」「大学に行きたい」という声が徐々に大きくなった。そして夏を迎えるころになると、リモートの生活に疲れやストレスを訴える人が増えてきた。それはコロナ禍前の定番だった遠距離の通勤・通学、仕事やアルバイトによる疲労、人間関係のストレスなどとは違うタイプの疲れだ。

毎朝「涙が止まらない」学生も

 在宅勤務を続ける人たちは、「密室の中で一日中、監視されている気がする」とか、「自分の仕事が上司にどう受け止められ、評価されているかわからない」といった不安を口にする。「同僚が何をしているか気になって仕方がない」という人もいる。しかし不満があっても愚痴を聞いてくれる人がそばにいないし、不安を感じても相談する相手がいない。

 そのうえ一日中、家の中にいると精神的なストレスが溜まるし、家族との人間関係がギクシャクしてくることもある。それでも時々外で会食したり旅行に行ったりできればストレスを発散できるが、外食や宴会も、夏休みの旅行やお盆の帰省も自粛させられ、「疲れ」は溜まる一方だ。

リモート講義続きで憧れのキャンパスライフを送れずにいる学生たち

リモート講義続きで憧れのキャンパスライフを送れずにいる学生たち

 当初は学校に行かなくてもよいと喜んでいた学生たちも、授業への出席に代わる課題として与えられたレポートの山と一人で向き合う日々に空しさを感じるようになった。芸術や体育などの実技科目、それに語学も読み書きばかりでは疲れが溜まるばかりで思うように上達しない。

 そして、いちばんのストレスはなんといっても友だちと会えないことである。特に新入生は入学したものの登校しないので友だちができない。半年間、自宅や実家にこもりきりだと孤独感や孤立感に襲われるのは当然で、ある学生は毎朝、目覚めたら涙が止まらないと語っていた。なお秋田大学の調査では、学生の約1割にうつ症状が見られたという。

関連記事

トピックス

遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン