原因は「対面型システム」にある

 会社にしても学校にしても、日本の組織は皆が一堂に会し、対面で仕事や学習をすることが前提になっている。ところがコロナウィルスは人びとが一堂に会すること、対面で活動することを許さない。この根本的な背反こそが仕事や学習にさまざまな支障をもたらし、ストレスや疲れを生む原因になっているといってよい。

日本の組織は「一堂に会する」システムが前提となっている

日本の組織は「一堂に会する」システムが前提となっている

 農業社会や工業社会では、生産性をあげるためみんなが集まって活動することが不可欠だった。抽象的に表現すれば、人間の行動と果たすべき機能(役割)を切り離すことができなかったわけである。

 組織の一員、集団の一員としての役割を果たすには、その場で一緒にいなければならなかったのだ。そして、わが国は有史以来、農業社会、工業社会で人々が生活を送り、発展を遂げてきた。

ポイントは「行動と機能」を分けること

 ところがIT革命によって切り開かれたポスト工業社会では、人間の行動と機能の切り離しが可能になった。インターネットを使えば、人々は一堂に会しなくてもチームの一員としての役割を果たすことができる。それがコロナ禍という突発的な環境変化とうまくマッチしたのである。

 リモートワークへの適応にも、その違いが表れている。工業社会の成功体験からなかなか抜け出せない伝統的な大企業では、社内のコミュニケーションや業務の運営に四苦八苦する姿が見られる。

 また一人ひとり仕事の分担がはっきり決められていないためアウトプットで評価することが難しく、従来どおり態度や行動で評価せざるを得ない。それが「四六時中監視されている」というストレスを与えることにもなる。

 一方、行動と機能を切り離している会社では、リモートワークのもとでも生産性が低下せず、社員の満足度も高いようだ。

 営業やプログラミングの仕事を任されている社員たちは、離れていてもチームワークに支障はないし、コロナ禍でも生活にほとんど変化はないという。また、以前から東京の会社に勤めながら実家のある大阪を拠点に取材活動をしている女性は、世間に在宅で過ごす人が増えたため、かえって仕事がしやすくなったと語る。

 大学もコロナ前からリモート講義が普及しているアメリカなどでは、学習上の戸惑いは少ないといわれる。しかも学校生活一色の日本と違って、海外では子どものころから地域のコミュニティやクラブ活動に関わっている。学外に友だちがたくさんいるので、大学に行けなくても孤立せずに済むのだ。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
水原一平容疑者の半生を振り返る(C)BACKGRID,Inc/AFLO
《現地レポート》水原一平容疑者「中学時代は帰宅部」同級生が口を揃える“影の薄さ”「騒いでるのをそばで見ているタイプ」「高校の同窓会には不参加」
週刊ポスト
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン