注目の番組タイトルは目立つようマーキングされている
文書には時間の経過を感じさせる名前もある。共同通信論説副委員長だった柿崎明二氏である。当時、柿崎氏はさまざまな番組に出演し、安倍政権への批判を行なっていた。
「安倍政権と国は別物。国は無人格で未来永劫続き、その運転手が政権。国家そのものの信頼を損なうような行為、姿勢は改めるべきである」(2019年11月12日『ひるおび!』)
柿崎氏は菅政権発足に伴い、首相補佐官としてジャーナリストからは異例の官邸入りをした。
記者会見での執拗な追及で菅氏の“天敵”とされる望月衣塑子・東京新聞社会部記者は言う。
「菅さんは、記者はいざとなったら取り込めるもの、権力になびくものだと思っているのではないでしょうか。パンケーキ懇談会(*注2)で番記者を懐柔したのもそれです。反対に、コントロールが利かない一部の記者には強い苦手意識を持ち、排除したがる。それが彼のメディア対策なのだと思います」
【*注2/10月3日朝、菅氏は内閣記者会に所属する記者を集めて懇談会を開いた。会場は菅氏の好物であるパンケーキで有名な店だった】
内閣広報室に聞くと、「新聞やテレビなどで、世論が政権、政策に対してどういう指摘をしているのかを把握する目的で行なっています」。抽出したコメントについては「担当者の判断で必要と思われるものを取り出しています」とのこと。
権力を監視するはずのメディアが、権力によって監視されるという異様な時代がやってきた。
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※週刊ポスト2020年11月6・13日号