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2020.10.28 16:00  週刊ポスト

大前研一氏「核のゴミ」最終処分場問題は国民的議論にすべきだ

 寿都町と神恵内村は、ともに漁業しか目立った産業がなく、人口減少が続いているので、最終処分場が立地すれば雇用も生まれて地域の活性化につながると期待しているという。

 ただし、北海道は2000年に、核のゴミは「受け入れ難い」とする条例を制定した。鈴木直道知事も第二段階に進んで国に意見を聴かれたら反対する姿勢だとされるが、彼が夕張市長だった時からの「後ろ盾」で、同じ法政大学の大先輩でもある菅義偉首相に同意するよう要請されたら、従わざるを得ないだろう。

 この膨大な核のゴミは、国民が電力を消費した結果として出たものだから、国内で最終処分するしかない。だが、これはスウェーデンとフィンランド以外、どの国も最終的な保管場所が決まっていないほどの「難問」である。「使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約」で、放射性廃棄物は「それが発生した国で処分されるべきもの」と定められているため、広大な国土を持つ他の国に頼ることもできない。

 すなわち最終処分場問題は、電力会社が一部地域の住民と話をつければよいというレベルの話ではなく、原子力行政を推進してきた「国家の問題」として政府が国民にきちんと説明し、広く議論すべきなのだ。資源エネルギー庁は3年前から全国で説明会を開いているそうだが、国民的な話題になっているとは言えない。

 私自身は、以前から最終処分場は福島第一原発がある双葉町と大熊町にするしかないと考えている。爆発事故を起こした原子炉の敷地内などはもはやほぼ永久に居住不可能だと思われるから、契約上は廃炉にして更地に戻した後で地元に返すことになっているが、たぶん地元も持て余すだけだろう。したがって、その周辺も含めて国有地として買い上げ、住民には“迷惑料”込みで手厚い補償をすべきだと思う。そこを最終処分場とするなら、比較的コンセンサスが得やすいのではないか。無人島などに持っていくという手もあるが、そういう案も含め、国民的な議論を尽くさねばならないのだ。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』。ほかに『日本の論点』シリーズ等、著書多数。

※週刊ポスト2020年11月6・13日号

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