“若手女優マニア”と呼ばれる映画ブロガーのCDB氏は、『ラストレター』での森の演技がとくに印象に残っているらしい。
「森七菜さんと広瀬すずさんが姉妹を演じた『ラストレター』では、ふたりの演技がはっきり違いました。森七菜さんはあえて声を張らないこもった演技で、彼女が思う“10代のリアリズム”を目指している印象でした。姉役の広瀬さんはじめ錚々たる共演者とはリズムの違う演技で、普通、新人女優が先輩の前でこんなチャレンジをするのは勇気がいることです。
でも森七菜さんはインタビューで、『私は昔から広瀬すずさんのファンで彼女を信頼していて、お芝居のときは遠慮なしでぶつかる以心伝心があった気がしました』と語っており、彼女の思い切った演技を受け止めた広瀬さんも、森さんのことを高く評価したと聞きます。
『天気の子』の陽菜役ではアニメ的に声を張った演技もしていますが、実写作品では意識して“森七菜流リアリズム”の演技を目指しているのだと思います。先輩俳優に加えて、岩井俊二や新海誠など彼女の実力を認める名監督も日ごとに増え、公開中の映画『青くて痛くて脆い』や放送中の『恋あた』でもまた少しずつ違う変化を見せている。強いハートを持った、将来が楽しみな女優です」
自身の考えるリアリズムを追求し、女優としての大器を感じさせる森。連ドラ初主演は、彼女の快進撃の第一歩に過ぎないのかもしれない。
●取材・文/原田イチボ(HEW)