そんな多彩な才能を発揮する彼女が歩んだキャリアについて、芸能事情に詳しいカメラマンでライターの名鹿祥史氏はこのように解説する。
「柴咲は1999年に化粧品のCMに出演して脚光を集めましたが、この頃は他の女性タレントとなんら変わらない清楚なお嬢さんタイプという感じで売り出されていました。それが2000年、映画『バトルロワイアル』への出演を機に、それまでのイメージを脱してどこか狂気も併せ持った個性派女優へと変貌します。
さらに2002年に突然の歌手デビューを果たし、RUI(ルイ)名義でリリースした『月のしずく』を大ヒットさせることによって、作詞もこなすアーティストとして成功。これをきっかけにミステリアスなオーラも纏うようになり、女優業にも箔がついたのか、連続ドラマ主演、NHK大河ドラマ主演、連続テレビ小説の主演と、女優として黄金期を迎えていくのです」
歌手としてデビューを果たすことによって、柴咲は女優業でも“黄金期”を迎えることになったようだ。名鹿氏は続ける。
「柴咲のすごいところはそこで終わらないところです。2016年、今度はエンタメ・コマース事業を行う会社のCEOに就任し、2018年にファッションブランド『ミ ヴァコンス(MES VACANCES)』を立ち上げるなど、実業家としてもデビュー。
現在、年齢的には39歳と、女優として難しい立ち位置の年代に差し掛かっているにも関わらず、こういったチャレンジ精神が功を奏してか、まったく衰えは感じさせません。
自立した仕事のできる女性として、特に同性からの人気が高く、今後もよほどのことがない限り、この地位が揺らぐことはないと思います。新しいことに多面的に挑戦し続けることで、人として、また女優としての格を高めていったのが柴咲です。40代を迎えても、変わらずマルチに活躍していくのではと思います」(名鹿氏)
つねに新しいことを追い求め続ける柴咲コウは、今後もファンがあっと驚くような活躍を見せてくれそうだ。
●取材・文/細田成嗣(HEW)