橋を支えているはずの橋脚に鉄筋が不足していた施工不良があったとNEXCO中日本も認めた。

橋脚に鉄筋が不足していた施工不良があったとNEXCO中日本も認めた。

地震があったらどうするんですかね

 緑橋は発注者であるNEXCO中日本(中日本高速道路株式会社)の検査で、橋台に鉄筋が入っていない強度不足と判明、11月4日に施工不良の事実を発表した。私は家を購入して以来、もう10年以上日野市に住んでいる。市役所のほうなので北部にはあまり来ないが、車を使えば10分もない場所である。ある日突然、何気なく使っていたインフラ、それも橋に欠陥が見つかる恐怖。緑橋のあたりは日野駅から1kmほどだが日野台地の勾配が延々続く土地なので車社会である。他にも小さな橋はあるがこの緑橋を使って甲州街道まで出たほうが楽なので車が集中する。さらに北はすぐ谷地川、多摩川で高速道と川に挟まれているため南北いずれに行くにせよ橋を渡る必要がある。

「あの橋は子どもたちも使うからね、トラックもいっぱいだし」

 新興住宅街でもあるこの地域は真新しい一戸建てが多い。保育園や幼稚園も点在する。さきほどの幼稚園バスだけでなく、日野自動車本社や工業団地も近くトラックの往来も多い。いつもなら何でも無い光景も、大型トラックで橋が埋まるとヒヤヒヤしてしまう。

 自転車でやって来た会社員の男性(41歳)は、ネットでニュースを知って見に来たという。

「鉄筋が入ってないなんて、地震があったらどうするんですかね」

 耐震補強のはずが配力鉄筋もなくコンクリートを打たれた。笑えない話だが、このままでは地震以前の問題だろう。

 そもそもこの緑橋、よく見ると左右で桁の古さが違う。実はこの橋、1966年に造られた古い小橋に一車線分を横に継ぎ足した形で新生「緑橋」となった経緯がある。少し前まで二車線なく歩道すら無い、みんなで譲り合って渡った橋だった。老朽化もあってかなかなかの難工事で、2018年ごろだったか、いつまでも工事をしていた記憶がある。

 その工事で手抜きがあった。犯人は元請けか、それとも下請けか ―― 。

 しかし本稿は手抜きの犯人探しが主題ではない。問題はある日突然、日常のインフラにとんでもない欠陥があったらという災難に、もはや日本中の誰しも巻き込まれる可能性のある国になりつつあるということだ。決して大げさでも、日野市だけの問題でもない。私たちは日本の公共事業の、建築モラルを信じてきた。誇っていたと言ってもいい。しかしそんな技術国家日本は大きく崩れようとしている。昔に比べて壊れやすくなった日本の電化製品、信頼性の低いIT機器。かつて日本の家電は10年20年平気でもった、国産PCやガラケーの信頼性は高かった、それなのに ――。それと同様のことが、ついにインフラにまで及ぼうとしている。

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