「コロナ禍」という言葉に違和感があるという聖心会シスターの鈴木秀子さん
お互いに支え合いみんなで「おかげ様で」と言おう
江原:コロナはない方がよかったけれど、人と自分を比べることから卒業し、自分は自分だと考えを改めるよき機会となりました。
鈴木:そうです。私は「コロナ禍」という言葉に違和感を抱きます。「禍」ではなく、学びの時間を与えられたと捉えなければ。
江原:「おかげ様で」という気持ちで生きることの大切さをひしひしと感じますね。
鈴木:自死を考える人には「おかげ様で」という発想が抜け落ちているのでしょう。そればかりか非常に自己中心的です。自分が自死を図れば、周囲の人がどれほど苦しい思いをするのかを想像して思いとどまってほしいです。
江原:自分はひとりで生きているわけではないという点に着目して「おかげ様でご飯を食べました」「おかげ様で大人になれました」と綴る「おかげ様で」をテーマにした手紙を書けば、死にたいなんて気持ちは吹き飛んでしまうことでしょう。
鈴木:そうして誰かのために生きようと決めることが大事なのです。私が好きなアメリカの詩人、エミリー・ディキンソンの作品に『一羽の小鳥を癒しなば、我が人生に悔いあらじ』というものがあります。ましてや誰かの助けになれたら人生はどれほど充実することでしょうか。それは笑顔で接する、「おはよう」「ありがとう」と声をかけるといった小さなことでよいのです。お互いに「おかげ様で」と伝え合いながら生きていくことで人生を輝かせていきたいものですね。
江原:日本人は結果を急ぐ傾向にありますが、心の成長は一日にしてならず、ですね。
鈴木:そうです。昨日より1㎜でも成長していたら、自分の成果を認めて、今日という日を無駄にしなかったと満足して眠る。それを繰り返していれば、いつか訪れる永眠にもスーッと気持ちよく入っていけます。
江原:どの道、いつかお迎えがくるのですから、今日も生かされていることに感謝して、精一杯に生きていきたいものですね。
鈴木:ええ。いま、苦しみの最中にいるかたも、「おかげ様で、おかげ様で」と言って歩み続けていれば大丈夫。必ず心穏やかな日常が戻ってきます。
江原:今日は素晴らしいお話をありがとうございました。
鈴木:こちらこそ有意義な時間に感謝します。
【プロフィール】
江原啓之(えはら・ひろゆき)/スピリチュアリスト、オペラ歌手。一般財団法人日本スピリチュアリズム協会代表理事。1989年にスピリチュアリズム研究所を設立。主な著書に『幸運を引きよせるスピリチュアル・ブック』『予言』『守護霊』『聖なるみちびき』『幸せに生きるひとりの法則』『あなたが輝くオーラ旅33の法則』『人間の絆』など。
鈴木秀子(すずき・ひでこ)/聖心会シスター。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。文学博士。フランス、イタリアに留学。スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授を経て国際コミュニオン学会名誉会長。聖心女子大学キリスト教文化研究所研究員・聖心会会員。主な著書に『今、目の前のことに心を込めなさい』など。
構成/丸山あかね
※女性セブン2020年11月19日号