ビジネス

『しぼりたて生しょうゆ』 最大のこだわりはボトルの復元力

キッコーマン

特殊なフィルターを使うことで、火入れせずに微生物を取り除く方法を開発。常温で生しょうゆを流通、販売することを可能にした

 フレッシュな生しょうゆを使いたい分だけ密封容器から押し出して使える『いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ』(キッコーマン)が、今年で発売10周年を迎えた。そこで今回は、改めてこの定番商品の開発ストーリーを取材。開発の歴史は、容器開発の歴史から始まった──。

 しょうゆは、栓を開けてしばらくすると、酸化して色が濃くなったり風味が落ちたりしてしまう。当たり前ともいえるこの現象だが、その当たり前を疑い、フレッシュなまま食卓に届けられないかと考えられたのが『いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ』だ。

 通常のしょうゆは、「発酵・熟成」の後に、「圧搾」「火入れ・ろ過」という製造工程を経て、食卓に届けられる。「生しょうゆ」というのは、「火入れ」をしないでつくられたしょうゆのことだ。

 まさにしぼりたてのしょうゆで、鮮やかな色、さらりとした旨み、おだやかな香りが素材の味わいを引きたてるのが特徴である。「生しょうゆ」自体は、製造現場では昔からおいしいと知られていたが、「火入れ」をしていないため品質の変化が起こりやすい。冷蔵での販売など、限定的な方法でしか届けられないことが課題だった。常温流通するには、しょうゆが空気に触れない容器が必要だった。

 なんと、この容器の研究は、商品が発売される10年前──いまから20年も前に始まったというから驚きだ。まず、研究の末に完成したのが、逆流防止弁付きで空気を通さないパウチ容器。記憶にある読者も少なくないかもしれないが、中身が減ってくると薄くなり自立しなくなってしまうという課題があった。そこで、中身が減っても形の変わらない密封ボトルの開発に着手したが、これこそが困難の連続だった。

 調味料用の密封ボトルを作るのは、当時初の試み。ボトルから出るしょうゆの量の調節にはもっとも苦労があった。1滴から欲しい分まで自在に出せるよう、注ぎ口の形状やボトルの硬さなど、何度も試行錯誤を繰り返し、複数の試作を行った。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン