ジル・サンダー氏とコラボした『+J』コレクションが爆発的な人気となっているユニクロ(写真は発表会に登場した女優の宮沢りえ/時事通信フォト)

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 無印良品は決算で部門別の売上高を公表していませんが月次では公表しているので、もう少し細かく見ていきたいと思います(コロナ休業中の2020年3月・4月・5月の3か月間は除外)。

 直営既存店の売上高は6月が前年比5.9%増、7月が同10.5%増、8月が同6.9%増、9月が同1.1%減とかなり好調だったといえます。しかし、衣料品と食品の2つの事業をクローズアップしてみると、好不調の差がはっきりします。

 まずは衣料品です。6月は2.9%増、7月が1.4%増、8月が15.0%減、9月が14.5%減、10月が6.5%増となっています。

 一方、絶好調の食品は、6月が27.7%増、7月47.0%増、8月53.2%増、9月90.5%増、10月54.9%増となっており、すごい勢いで売上高を伸ばしています。

 この前年対比だけを見た人は、「なんだ。衣料品は8月と9月以外それほど悪くないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、衣料品は昨年9月から客単価が大幅に減少しています。

 昨年9月が11.1%減、10月が11.2%減、11月が10.2%減、12月が12.0%減、1月が11.4%減と大きく前年割れしています。コロナ明けの6月、7月、8月もそれぞれ7.3%減、11.9%減、10.7%減と落ち込んだままになっています。

 無印良品は新政策として今年10月2日から、72品目の値下げを実施しましたが、すべて衣料品です。さらに12月末には第2弾の衣料品値下げもあると発表されています。10月の衣料品売上高が伸びたのは、この値下げ政策のおかげではないかと思われます。

 しかし、この衣料品値下げは、積極的な価格競争戦略というよりは、これまでの衣料品の客単価下落の追認に過ぎない消極的な政策だと個人的には考えています。ではどうして、ある意味でユニクロやジーユーよりも高いブランドイメージを確立した無印良品の衣料品が「定価では売れない」という安売り状況に陥っているのでしょうか。

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