次にサイズ感が小さい問題ですが、特に昨年秋からのメンズは小さくなったと感じます。
いま、マストレンドは2016年からそれまでのピチピチスリムからゆったりとしたルーズシルエット、ビッグサイズが復活しています。ユニクロもトレンドにはある程度左右されるので、ユニクロのラインアップを見れば分かると思いますが、2015年までの物よりゆったりした商品が増えました。ジーユーも同じです。
他の大衆向けブランドがゆったりしているのに無印だけがピチピチでは当然、他ブランドと組み合わせにくくなり、敬遠されてしまいます。
またユニクロも無印もそうですが、ベーシック商品をメインに揃えているため、中高年の顧客も相当いると考えられます。
中高年になると、若い頃とは体形が異なり、どんなに体重が変わらなくても昔と比べて多くの人がガッシリしてきます。そうなると、ピタピタの服はやっぱり着づらいと感じます。ましてやマストレンドがゆったりシルエットへと回帰していれば、他のブランドのほうが着やすいと感じるのは当然です。一方、若者はそれほどベーシックな衣料を好まないにもかかわらず、無印のサイズ感は若者向きになっているというミスマッチさが弱点となっています。
昨年秋から無印の客単価が10%以上も低下したのは、特に中高年顧客から選ばれにくくなった洋服が在庫となり、値引きをしながらようやく売りさばいていたという状況だったのかもしれません。
今回、大幅な値下げ施策で衣料品の売れ行きは持ち直しましたが、根本的な問題はまだ解決していません。無印良品の衣料品が本格的に回復するかどうかは、開発・生産・物流コストなどの抑制はもちろん、サイズ感の見直しやクオリティの向上は不可欠で、そこに着手しない限り本格的な回復には至らないでしょう。