チワワと、もともと牧羊犬として飼育されていたシェットランド・シープドッグ(イメージ)
売れ残った犬猫の末路はわからない
量販ペットショップは売れない子を回転寿司のように各店舗に回す。地域性やタイミング次第では売れることもあるし、お迎えのチャンスが増えるからだ。なぜなら生きている子たちを物みたいに倉庫に積んでおくわけにもいかないし、日々のエサ代など管理費も馬鹿にならない。では売れ残ったミックス犬はどうなるのか。
「店によってまちまちですが、ブリーダーに返品がきく場合があります。あと専門の引き取ってくれる業者もいます。その先は……ごめんなさい。私にもわかりません」
そう、みんな知らんぷりだが、売れ残った子の末路はわからない。
「しっかりした専門店などはオーナーや店員が引き取ったり、店の看板犬になってしばらくして誰かにもらわれたりしますけど、そういう店はちゃんとした子を厳選してるし数も少ないから何とかなってると思います。でもペット量販店だと難しいです。毎月たくさんの子を仕入れて売って、ですから」
とある大手ペット量販店が「スタッフが何匹も引き取ってます」アピールでテレビ取材を受けていたが、あんなの嘘っぱちだと池野さんは語る。「仕入れの数を考えたらありえない」と。確かにそれが本当なら全スタッフが多頭崩壊してしまうだろう。ということはタダでもお迎えの来ない子、メスは繁殖犬になるだろうがオスはどうするのか、さらにはかわいそうな言い方になるが誰かが気に入らなければ繁殖にも使えないミックス犬はどうなるのか。
「わかりませんが、悲しいことになっている子がいることは間違いないと思います」
池野さんを責めてもしょうがない。この国でこれらすべてが違法ではないし犯罪でもない。動物愛護管理法には「終生飼養」が明記されているが、これは都道府県の保健所が引き取りを拒否できるというだけで「動物取扱業者の責務に、販売が困難になった動物の終生飼養を確保することが明記」されていても具体的な個々の事例となるとザル法としか言いようのない実態が現在も続いている。
「小型犬や猫はまだいいんです。一番困るのが中・大型犬です。すぐ大きくなりますから、寝返りがやっとのショーケースで何ヶ月も過ごすんです。ウェルシュ・コーギーもそうですね。シェルティ(犬種・シェットランド・シープドッグ)とか、みんな元気な牧畜犬ですよ、そんな狭いところに何ヶ月もいるのは拷問です」