これは譲渡会や保健所でのお迎えの普及しない理由でもある。猫はともかく、犬の場合はとくに犬種によって容姿やサイズも様々、飼い主によって好みも事情も違ってくる。犬なら何でも好きです何でも飼います、飼えますは少数派だろう。
「タレントが飼ってたとか有名YouTuberが買ったアメショー(猫種・アメリカンショートヘア)を見たからとか、そんな理由で買う人もいます。わからないから、とにかく店頭に並べるんです。みんな生きてる子なのにね。そして売れ残る」
池野さんによればお店や地域によっても売れ筋は変わってくるという。
「血統書つきの犬とか珍しい犬とかが絶対じゃないんです。ホムセンに入ってるペットショップの売れ線は世間で流行ってるか、可愛いかどうかなんです。ミックス犬は見た目が大事って人たちにウケます」
常々、ミックス犬とはどんな人が買うのかと疑問だった。決して安いわけでもない。むしろ純血種と変わらない値段だったりする。
「JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)ではまず認めないような子です。言い方が悪いかもしれませんが雑種ですね」
気を悪くするかもしれないがミックス犬が雑種であることは事実である。個々人のお気持ちだけで現実は変わらない。血統書つきの子と比べての上下や優劣の話ではない。
「でもホムセンとか、田舎の(ショッピング)モールだとミックスは人気なんです。そういうところだと見てくれが可愛いければいいんです」
“そういう子”を作り出しているのは儲かればいい一部の悪質ブリーダーだ。わざわざ他種交配でミックス犬という名の雑種を作り出す。要するに産ませる。
「血統書つきの女の子でスタンダードからかけ離れてる子や柄の悪い子で売れ残った場合、それを純血種同士で繁殖犬にするよりはミックスにしたほうがいいと聞いています。でも血統書つきの子のほうがひたすら値下げして、各店舗を回せば売れますけどね」