雑談からの何気ない話から、ここまで率直に、あらいざらい話してくれるとは思わなかった。そして池野さんはコロナ禍のペット業界の特需にも疑問を呈する。

「心配なのはコロナでペットショップが大儲けしてることです。私の勤めていたチェーン店も犬が足りない、猫が足りないでコロナ特需と耳にしました。値段も私のころにくらべて倍になってます」

 売る側はもちろん、後先考えずに一部の売らんかなのショッピングモールやホームセンターで買う客が減らない限り「命の悲劇」は続くだろう。そういえば私の疑問に明確には答えてくれていない。改めて聞いた。売れ残った子たちは、どこへ消えるのか。

「処分してくれる専門の業者がいます。私が知っているのはそれだけです」

 その後の池野さんの話は反社や特定団体も絡むため証拠もなしには書けない。これから取材しようと相談したら「本当に危ないからやめたほうがいい」と言われてしまった。やはり処分なのか。その処分の内容は、池野さんもわからないしわかりたくもないという。

 生体販売の闇は途方もなく深い。これをきっかけとして、あらためて追及するつもりである。

●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。2018年、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。近刊『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社)寄草。近著『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)。

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