都内在住の40代会社員は、神奈川県に暮らす80代の実父を気にかける。
「久々に会った父が見るからに元気がなくて心配になりました。コロナになる前は小学生になる孫と一緒に月イチくらいは実家に帰っていたけど、4月以降は全く会っていなかったので、急な衰えにびっくりしてしまって。
たまに実家に電話はしていたんですが母と話すばかりで、父は『こっちは何も変わっていないから安心しろ』と言うだけ。母に聞くと趣味の写真サークルも活動がなくて外出することがほとんどなく、最近は風呂の水を出しっぱなしにしたり、カギの置き場所を忘れてしまったりしているようです」
コロナフレイルは目立った症状があるわけではないため、本人も家族もその兆候に気付くのが難しい。前出・山口氏は、簡易チェックリストの使用を勧める。
「国立長寿医療研究センターが作成した『簡易フレイル・インデックス』というものがあります。『6か月間で2~3kgの体重減少がありましたか』、『5分前のことが思い出せますか』など5項目のうち3項目に該当すればフレイルの可能性があり、1項目でもあれば前段階の『プレフレイル』という状態です。その時点で医療機関に相談したほうがいいでしょう」
医療機関では握力が男性で26kg未満、女性18kg未満、歩行速度が毎秒1メートル以下になるなど基準に応じてより詳細にフレイルチェックが行なわれる。
スマホを活用する
コロナの再流行と冬の到来で、今後ますます“巣ごもり生活”を続ける人が増えるだろうが、フレイルを予防するために自宅でもできることはある。
「予防啓発で重視しているのは認知機能低下を防ぐことです。1日が始まる朝にその日の日付や天気を声に出してみる、絵や川柳に取り組んだり、新しい料理を作ってみることもお勧めです。
運動不足を解消するために目安となるのが1日2000~3000歩を確保することですが、これも自宅でできる。テレビを見ながらその場の足踏みでも十分です。また椅子に座って左右の太ももを胸に近づけるもも上げや手を使わずに椅子からの立ち座りスクワットを1日10回程度すれば筋力の維持に役立ちます」(前出・北村氏)