スポーツ

狩野舞子「切羽詰まれば何でもできる」ケガ完治前に海外移籍

狩野舞子は両足のアキレス腱を断裂してもなお戦い続けた(AP/AFLO)

狩野舞子は両足のアキレス腱を断裂しても果敢にバレー人生を駆け抜けた(写真/AP/AFLO)

 中学3年生でオリンピック全日本代表候補に選ばれた元バレーボール選手の狩野舞子の競技人生は、常に痛みとともに歩むものだった。右、左と両足のアキレス腱を断裂してもなお戦い続けたバレー人生を、狩野自身が振り返った。

 * * *
 言うまでもなくアキレス腱断裂は選手生命を左右します。私はそれを両足経験しました。辛い記憶ではありますが、振り返ってみれば、ケガを通じて自分自身が成長できたと思える部分もあります。元々、周りの評価を気にして勝手に落ち込んでいくようなネガティブだった性格を、ポジティブに変えてくれたきっかけだと思っていますから。

 2007年に八王子実践高校を卒業し、久光製薬スプリングスに入団した私は、2008年の北京五輪に照準を合わせルーキーイヤーから試合に出してもらっていました。順調に試合を重ね、年が変わった2月の日立佐和戦。バックをやっている時に、突如身体の後ろから「ズキャン」という経験したことのない衝撃が走ったんです。

 最初は右足首の後ろを誰かに蹴られたと思いました。でも後ろを振り向いても誰もいません。医務室でのドクターの診断は、「こりゃアキレス腱が切れてるな」。肉眼でもわかるほど筋の返りに変なくぼみができていました。

 縫合手術をし、1か月ほど入院しました。術後すぐに動けなかったので、仰向けで寝たままずっと白い天井を見ていたのを覚えています。実はこの時、姉の美雪も日本代表に選ばれていて、姉の年齢を考えると姉妹で五輪に出るのは最初で最後のチャンスだったんです。姉は「焦っちゃダメだよ」と励ましてくれましたが、悔しさが脳裏を駆け巡り、ネガティブな考えがなかなか拭えませんでした。

「何でもいいからポジティブに変換」

 それから地道なリハビリを経て半年後に復帰。しかし2年後、2010年1月の練習中に今度は左アキレス腱を断裂しました。ただこの時は右の時とはすでに受け取り方が変わっていました。前回があるのですぐ認識できましたし、リハビリの過程を思い出して、「まあ、まだ(2012年のロンドン五輪には)間に合うか」と、ポジティブに考えられるようになっていましたね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン