国際情報

トランプ敗北で左派メディアが収益8割減という皮肉な予測

トランプ劇場は、確かにエキサイティングだった(AFP=時事)

トランプ劇場は、確かにエキサイティングだった(AFP=時事)

 アメリカ大統領選挙は、いよいよ決着が間近に迫っている。トランプ大統領の法廷闘争はことごとく空振りに終わり、「大規模な不正があった」という主張は、側近のバー司法長官からも否定された。ネットには、まだまだトランプ支持の言論が(日本でも)飛び交っているが、その声を信じるのは、もはやトランプ支持者だけである。メディアとネットを巻き込んだトランプ劇場はいよいよ終幕を迎えるが、その皮肉な影響について、ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏がリポートする。

 * * *
 トランプ大統領の敗戦を喜ぶ国民、悲しむ国民、様々である。アメリカを二分した戦いだっただけに、その傷跡は深く残る。支持者たちの悲喜こもごもは当然だが、トランプ劇場が幕を下ろすことで具体的に損害を被る業界もある。その最たるものがリベラルメディアだという皮肉な現実が見えてきた。

 大統領選挙で大いに盛り上がった反動で、テレビ局の来期の収益は40~80%も落ち込むという予測が出ている。選挙そのものが巨額の広告宣伝費を使うこともあるし、選挙によって契約者が増え、視聴率が上がり、広告収入が増えるという黄金の連鎖が消えてしまうのだから当然だ。もちろん、FOXニュースのようなトランプ支持にまわった保守系メディアも痛手は被るが、むしろトランプ憎しの視聴者を惹きつけてきたCNNやMSNBCなどのリベラルメディアのほうが落ち込みは激しいと見られているのは皮肉である。FOXはこれからバイデン政権批判で盛り上がることもできるが、リベラルメディアにとっては、トランプ降板で祭は終わりである。仮にトランプ氏が再選を果たしていれば、そうしたメディアはこれからも4年間、反トランプの視聴者を抱え込むことができたであろう。

 トランプ氏の演説は、まるでアニメ映画を見ているようだった。ゆっくりと巨体をゆすりながら登場する姿は、なるほど貫禄と威厳を感じさせた。聴衆に手を振りながら演壇に上がると、歌舞伎役者が見得を切るようにキッと表情を引き締め、アドリブで怒涛のように話し始める。原稿などは見ない。すべてアドリブで延々と話し続ける。同じ言葉の繰り返しが多いのが特徴だが、それもおそらく計算のうえだ。演説は長い。聴衆はいつの間にか引き込まれ、夢見心地のまま聞き入っている。もはやトランプ氏の言葉を疑う気持ちは失せていることだろう。そして演説が終わると、優しいが力強い音楽が流れ(その時々で曲は様々だが)、トランプ氏は親しく聴衆に歩み寄る。歓声が上がり、人々は熱狂する。若者が多い集会ならば、興奮した極右団体と、会場を取り囲む極左団体のいざこざが起きるが、それもトランプ劇場のお決まりの余興のようなものだった。

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト