もし、家族の1人が「濃厚接触者」になってしまったら──。新型コロナ「第3波」の感染拡大が続くなか、妻と2人の娘を持つ40代男性はこの問題の当事者となり頭を抱えた。高校3年生の長女が濃厚接触者となり、保健所から家族全員の外出自粛を求められたからだ。中学2年生の次女が唯一の自慢としていた、8年連続「皆勤賞」も途絶えてしまうかもしれないというのだ。
首都圏在住の石田貴さん(45、仮名)は、長女が通う私立高校からの連絡に耳を疑った。部活内でコロナの陽性者が確認され、部員たちが「濃厚接触者」になったのだという。長女は直ちに出席停止となり、保健所からの指示を待つことになった。進学を控え多少の不安はあるものの、すでにAO入試で合格内定が出ていたため、学業の一時中断にさほど問題はない。あとはPCR検査で陰性判定が出ることを祈るのみだ。
翌日行なわれる長女のPCR検査から判定が出るまでは、およそ3日を要するという。その間は、保健所の指示により、家族全員が外出を自粛することになる。石田さんも妻もテレワークが可能なので仕事に支障はない。問題は、中学2年生の次女だ。
「お父さん、私の皆勤賞はどうなっちゃうの? ちょっとマジで困るんだけど!」
勉強は苦手だが、体力は自信のある次女が“唯一の自慢”としていた皆勤賞。文科省は3月、「感染者や濃厚接触者と特定された児童・生徒は出席停止の措置をとる」などとしたガイドラインを公表したが、“濃厚接触者の濃厚接触者”にどのような措置が取られるのか、広く周知されていないのが実情だ。
「皆勤って、高校受験の“内申”にも影響するんじゃない? ヤバいでしょ!」
確かに高校受験、特に推薦入試においては内申書(調査書)の占めるウエートが非常に大きいとされる。通知表の成績に加え、部活動の記録や生徒会活動への参加、そして「出欠の記録」も合否の判断に大きくかかわるというのだから、ここで小中学校8年続けた皆勤を逃してしまうのは忍びない。石田さんが振り返る。
「保健所は、このようなケースで“子供の出欠扱いがどうなるかわからない”という。濃厚接触者家族への外出自粛はあくまで要請なのだから、そのまま次女を学校に行かせる選択肢もありました。ただ万一、長女が陽性だった時のリスクを考えると、保健所の指示に従い学校を休ませざるを得ませんでした」