スポーツ

柔道・代表決定直前 丸山城志郎の父が「息子は勝てない」

直接対決で決着となる(時事通信フォト)

直接対決で決着となる(時事通信フォト)

 まさに世紀の一戦、いや一騎討ちだ。東京五輪に臨む柔道日本代表で、唯一、代表(内定者)が決まっていなかったのが男子66キロ級だった。昨年の東京世界選手権男子66キロ級の王者である丸山城志郎(27)と、2017年から同大会を2連覇した阿部一二三(23)。実力が拮抗したふたりの世界王者による異例の代表選手決定戦が12月13日、柔道の総本山である講道館7階の大道場を舞台に、ワンマッチで行われる。

「城志郎は負けると思います。世紀の一戦だかなんだか知りませんが、オリンピックに出場することよりも、金メダルを獲ることよりも、大事なものが今の城志郎には欠けている」

 五輪切符に手を掛けている丸山に厳しい言葉を投げかけたのは、1992年バルセロナ五輪の男子65キロ級代表で、丸山の父であり、柔道の師である顕志氏(55)だ。

「運命の日」が延期で「一二三の日」に

 世がコロナ禍に見舞われなければ、66キロ級の代表は今年4月5日の全日本選抜体重別選手権の結果を受けて内定者が決まるはずだった。だが、東京五輪の延期と共に、同大会は流れた。顕志氏はこの日を運命の日と位置づけ、当時は息子の勝利を信じていた。

「28年前の4月5日に、私は講道館杯で優勝し、バルセロナ五輪出場を決めたんです。しかも、その日は長男の剛毅の誕生日でもあります。ところが延期になり、改めて代表決定戦の日程が発表された瞬間、正直な感想として息子に勝ち目はないと思いました。12月13日と、1、2、3という数字が並び、ほぼほぼ阿部“一二三”君の日じゃないですか。それは単なる偶然としても、息子のこれからの人生を考えたら、むしろ阿部君に『こんなヤツに負けたらいかんぞ』と言いたいくらいです」

 顕志氏はかつて、出身地の宮崎で「泰山学舎」という道場を開き、ふたりの息子をオリンピアンに育てるべく英才教育を施した。バルセロナ五輪の試合前日、あまりの緊張に眠ることができず、普段口にしたこともなかった睡眠薬を飲んだことで翌日身体が動かなくなってしまった失敗談などを伝え、ちょっとした気の緩みや奢りが、「大きな失敗=敗戦」につながると指導してきた。自身が果たせなかった五輪金メダルの夢を息子たちに託すあまり、鉄拳制裁もいとわぬ時代錯誤な厳しい指導も繰り返してきた。

 顕志氏の人柄がよく分かるのが、丸山が中学時代のエピソードだ。投げられて敗れるならまだしも、消極的な姿勢で「指導」の差による敗北が続いた時期に、「お前の柔道には心がない」と名前に入った「志」の文字の心をとり、「城士郎」の登録名で試合に出場させたのだ。また、2016年の選抜体重別で新星・阿部にやはり「指導」の差で敗れるや、「名前を四五六に改名しろ」と言い放つ。さらに勘当を告げ、それは3年間も続いた。

 両者は連絡をいっさいとらず、その間に丸山は結婚もしている。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン