ファンにしっかり幕引きを見せたい
まさに「万に一つのリスクがあってもいけない」という緊迫感を増す状況の中、驚かされるのは、嵐の5人がいつも通り、仲よく楽しげな姿を見せていること。その姿は、まさにファンたちが好きな嵐そのものであり、彼らのプロフェッショナルぶりを物語っています。
ファンたちがロスを恐れながらもネット上に感謝のメッセージを書き込むなど、穏やかな気持ちでいられるのは、そんな彼らの姿によるところが大きいのでしょう。解散まで何の動きもなかったため存続を願って大規模な署名活動、『世界で一つだけの花』購買運動、新聞広告を使った応援プロジェクトなどを行っていた4年前のSMAPファンの動きとは対照的です。
嵐にとっては、ファンと直接会えるライブが中止になり、5人全員で関わっていた東京オリンピックも延期されるなど、思い通りにならないことばかりの一年でした。活動休止まで残りわずかの今になっても状況は好転するどころか、「絶対に感染してはいけない」との思いで闘う日々は続いています。
しかし、彼らは大みそかの配信ライブでファン同士がつながって見られる「フレンズ参戦機能」をつけたり、カメラに向かってやってほしいことのリクエストを受け付けたりなど、最後までやれる限りのファンサービスを忘れません。
先輩の中居正広さんは2018年に滝沢秀明さんが引退目前のとき、「僕個人は(SMAPの幕引きを)怠った人間であって、『。(丸)』で幕引きができなかったので、どうか滝沢と(今井)翼の2人にはファンの子に(しっかり幕引きを見せてほしい)。今まで応援してくれた人たちってやっぱりすごく大事だから」と語っていました。
SMAPという偉大な先輩の教訓を生かし、ファンたちに幕引きを見せるためにも、嵐の5人は緊迫感あふれる日々の中、大みそかの最後の瞬間まで走り続けてくれるはずです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに約月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演し、情報提供も行っている。著名人専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動中。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。