2016年、鮭イクラ丼を食べた日の夜に発症した庄司は、「痛い、痛い、痛い、ヤバいヤバいヤバい!」と叫ぶばかりの激痛に襲われ、一睡もできなかった恐怖の体験をテレビで明かした。また山里はアニサキス症の激痛について、「何かが中に入って、胃袋をつかんでいるような苦しさ。一寸法師にやられた鬼の気持ちがわかった」とラジオで語った。
激痛が生じるのは腹部だけではない。頭痛の中でも激烈な痛みを伴うことで知られるのが群発頭痛だ。くどうちあき脳神経外科クリニック院長の工藤千秋医師が指摘する。
「患者によって症状は様々で、ハンマーで殴られたような激痛が生じたり、目の前がピカピカ光って吐き気を催すことがあります。
最大の特徴は、頭の片側だけが痛くなること。原因不明で年代を問わず突然発症し、いてもたってもいられない激痛がしばらく続きます。月2~6回の頭痛発作が起こるケースが多いが、発作が終われば体調は元通りになる。肩こりや生あくび、空腹感が予兆といわれますが詳しくは不明で、嘔吐をすると痛みが治まります」
歯磨きや洗顔をする際、顔面に殴られたような激痛が走ると、三叉神経痛が疑われる。死にたくなるほど絶望的な痛みをもたらすことから、俗に「自殺頭痛」と呼ばれる。
「三叉神経は、脳の真ん中の脳幹から出ている大きな神経で、熱さや冷たさなど、顔で感じた感覚を脳に伝える役割を果たしています。この神経に異常が起こり、顔や目の奥、鼻の横、あごの下などを突発的な激痛が襲うのが三叉神経痛です」(工藤氏)
手で顔を触れるだけでなく、口を動かしたり、食事をするなど何気ない動作が激痛のトリガーとなる。
「加齢で硬くなった血管は、大きく曲がってうねります。その動脈がドクンドクンと脈を打つたびに三叉神経に物理的に接触することで、雷に打たれたような激痛が生じます。歯痛や副鼻腔炎と間違うこともあり、歯科や耳鼻咽喉科の受診で症状がよくならなかったら、三叉神経痛の可能性が高い」(工藤氏)
寒風が顔に当たっただけで激痛が走ることもあるという。
※週刊ポスト2020年12月25日号