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2020.12.19 11:00 週刊ポスト
膀胱がんや肝臓がん、5年生存率低下 背景に患者の高年齢化

新薬などの開発も進んでいるが、「がん生存率」が変化した原因は?(写真/AFLO)
国立がん研究センターは11月19日、2010年から2012年にがんと診断された患者約14.8万の症例を集計した最新の「部位別5年生存率」(別掲表参照)を発表した。
この調査結果によると、治療成果は年々上がっており、全部位平均の5年生存率は、68.6%と10年前の64.1%から上昇。特に、男性患者が女性の6倍と多い食道がんや、日本人男性の死亡原因1位の肺がんは治療技術の急速な進化もあり、5年生存率が10年前の同調査から大幅にアップした。
一方、医療技術の進歩にもかかわらず、5年生存率が「マイナス」になったがんもある。そのひとつが膀胱がんだ。ステージIVを除く全ステージで5年生存率が下がり、全症例でも唯一10年前を下回った。統計調査の責任者で千葉県がんセンター疫学研究部部長の三上春夫医師も、「予想外の結果だった」と首を傾げた。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は“原因”をこう分析した。
「患者の高年齢化が考えられます。膀胱がんはもともと高齢者が罹患しやすく、最近は高齢者の死亡件数が際立って増加しています。85歳以上の死亡者数は、10年前の1268人から3755人と約3倍になりました」
超高齢社会の日本では、高齢者ががんに罹患する割合が年々増加している。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。
「年齢を重ねると免疫機能が弱まり、体力の低下から、治療法も限られるようになる。当然、死に至るリスクは若い頃より高くなる」
室井氏の指摘を受け、三上氏はこう語った。
「調べてみて分かったのは、10年前の統計とは年齢構成に大きな差があったということです。特に膀胱がんは、最新のデータでは高齢者(60~70代)の比率が高く、80代以上の方のデータも多数含まれていました。高齢者はどうしても死亡リスクがあるので、それが今回の5年生存率に影響したと考えられます。ご指摘を受けまして、部位別、ステージ別に平均年齢を表記しようと思います」
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