負担が大きいのは右ヒジだが、筋肉のない部位となり、鍛えるといっても容易ではない。
「あくまで一般論ですが、鍛えにくい場所だからこそ、ヒジに負担をかけないように、お尻まわりの筋肉や太ももの裏の筋肉といった下半身をしっかり鍛えたうえで、上半身に手を付けていくようなトレーニングが必要になる」
5月以降は右ヒジの違和感が消えなかった佐々木だが、2019年夏から10キロ増えたという肉体は、だんだんとプロ仕様に近づいていると川村准教授は話す。
「ただ、コロナの影響で自粛期間などがあり、実戦登板までの過程に狂いが生じた面はあるかもしれません。実際に打者と対戦すれば、自然と力が入ってしまうもの。それがシート打撃登板後に、ヒジの張りや違和感として現れたのかもしれませんね。一方で、登板機会がなかったことで、体の成長を待つことができた面もあると思います」
来季こそ“投げない怪物”がプロのマウンドに上がる姿を見たいものだ。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)