国内

ヤクザの新年会 組長が組員に配るお年玉は「5000~1万円」

新年会には組長が組員にお年玉を配るという…(イメージ)

新年会には組長が組員にお年玉を配るという…(イメージ)

 新年の到来を祝う正月。人それぞれ過ごし方があるが、ヤクザの世界には独自の様式がある。暴力団取材に精通するジャーナリスト、鈴木智彦氏(フリーライター)と溝口敦氏(ノンフィクション作家)が、ヤクザの正月について徹底解説する。

鈴木:昔は初詣も、新年になった瞬間に先頭でお参りするのはヤクザでした。そうして地域の顔役であることを見せつけていた。最近はその代わりに、ヤクザと一緒に年越しすると、12時になった瞬間に組長に必死で電話するんです。恐らくどの組員もみんなそうしているから繋がりにくいんだけど、わざわざそうすることに意味がある。

溝口:元日からは組の新年会があります。昔は芸者やコンパニオンを呼んで派手だったけど、今は予算規模も縮小しているからなかなか厳しい。

鈴木:元日は本家の一次団体の集まりに顔を出し、2日以降に二次団体、三次団体とどんどん気の置けない仲間たちとの集まりになっていく。

溝口:さらに顔が広ければ自分のスポンサー筋の新年会にも顔を出すから、休まらないですね。

鈴木:組によっては、組長が「正月くらい若い衆も家族を大事に」という組織もありますけどね。ただ、ヤクザは親分子分という親子関係なので、新年会には組長が組員にお年玉を配るわけです。

溝口:5000円とか1万円だけど。

鈴木:それでも、ヤクザのお年玉の場合は組長の名前が入っているから、もらったら嬉しくてポチ袋を額に入れて飾ったりしています。とくに六代目山口組の場合、司忍組長が3万円、髙山清司若頭が1万円なんだけど、下っ端からしたら会う機会すらなかなかないから、嬉しいらしいです。

溝口:もっとも、上納金を納めているわけだから、それが一部還元されただけとも言えますが。

【プロフィール】
溝口敦(みぞぐち・あつし)/ノンフィクション作家。1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』など。

鈴木智彦(すずき・ともひこ)/フリーライター。1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。

※週刊ポスト2021年1月1・8日号

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン