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2021.01.19 16:00  NEWSポストセブン

「最底辺の家庭」で育った40歳の配達員は絶望を考えることもやめた

新型コロナウイルスによって仕事を失い「配達員」になった(イメージ、時事通信フォト)

新型コロナウイルスによって仕事を失い「配達員」になった(イメージ、時事通信フォト)

 2020年4月に続き、二度目の緊急事態宣言が首都圏に発令され、他の都市圏にも出されようとしているいま、ネットでは再び現金の一律給付を求める声が上がっている。それに対し、選ばなければ仕事はあり稼げるのだから、貧者は貧困をみずから選んでいると主張して反対する人たちも出現している。必ず現れるこの「選ばなければ仕事はある」という言い分は、低賃金で何も保障されない仕事が幅を利かせる遠因でもある。複数のフードデリバリー事業者と契約して配達員として暮らす40代男性の、希望と絶望についてライターの森鷹久氏がレポートする。

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 コロナ禍でもっとも注目されている業種の一つに「配達」を挙げることができるだろう。

 政府や自治体による「外出自粛」の要請もあり、客が減った飲食店が、続々フードデリバリー事業者と契約し始めている。それまで出前サービスを行ってこなかった店舗も、商品を顧客に届けるサービスと契約することで販路を開拓、少しでも収益を確保し、コロナ禍をなんとか生き延びようともがいているのだ。街の中を多くの配達員が行き交っている光景は、コロナ禍以降全国で見られるようにもなった。

 都内在住のフリーター・桂豊明さん(仮名・40才)は、そんな「サービス」の配達員の仕事によって生計を立てている一人。現在では、複数事業者の配達員として登録をしており、昨年の夏以降、丸一日休んだ日はないと話す。

「以前は倉庫で働く派遣社員で、昨年の4月以降は給与の出ない在宅勤務となり、6月に契約を切られました」

 桂さんは小学校、中学校時代にいじめに遭い、不登校になった。いや、原因はいじめだけではない。父親が病気で働けず家計は火の車、にも関わらず、毎日酒を飲んで母親を殴るような家庭で育ったことも影響している。劣悪な家庭環境に耐えられなくなった母親は、小さかった桂さんを置いて一人、家を出ていった。今も母の行方は分からない。残された働けない父と子供だけの暮らしは生活保護頼み、自分の家は「最底辺だ」と、小学校の低学年頃には意識していたという。

「給食が一番のご馳走で、給食が楽しみで学校に行っていました。でも、学年が上がるにつれて、僕は普通の人と同じように暮らしてはいけない、勉強する資格もないと思うようになりました。もらっていた生活保護は税金だと知り、申し訳ないと思ったからです」

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