大関・貴景勝は初日から4連敗(写真/JMPA)
もちろん、緊急事態宣言下で開催を強行した協会も、危機的状況のなかにある。
「協会の昨年の赤字額は55億円といわれる。なんとか協会の収入を支えるのが1場所5億円といわれるNHKの放映権料だから、本場所の中止は避けなくてはいけない事情がある」(担当記者)
さらには、モンゴル横綱が不在の間に開催した場所で、念願の日本人横綱を誕生させたいという思惑もあったとされるが、そちらは早々に潰えた。
「綱取りの大関・貴景勝は初日から4連敗。日本人横綱誕生はまた先の話になった。協会も横綱を空位にはしたくないから、白鵬と鶴竜にとっては都合のいい展開」(同前)だというのだ。
協会の姿勢もご都合主義というほかない。
コロナへの恐怖心を理由とする休場が認められず引退した元序二段・琴貫鉄について、広報部長の芝田山親方(元横綱・大乃国)は「力士は相撲を取ってなんぼ」と切って捨てたが、休んでばかりの横綱になぜ同じことがいえないのか。
横綱ふたりと協会の打算だらけの醜悪バトルは、まだ終わりが見えない。
※週刊ポスト2021年1月29日号