2016年リオ五輪の開催式(写真=AA/時事)

2016年リオ五輪の開催式(写真=AA/時事)

 イギリスや南アフリカなど世界各地で確認されている変異種の流入リスクについてはどうか。

「ウイルスは常に変異するため、日本でも感染力の強い変異型が発生する可能性はあるし、既に海外から流入しているだろう。五輪による流入を防ぐことに大きな意味はありません。

 また、ウイルスは変異で毒性が変化するが、弱毒化したウイルスのほうが集団に広まりやすく、弱毒ウイルスが優勢になっていくのが普通です。

 イギリスの場合、第一波のピークだった昨年4月14~21日の感染者の平均は1日4788人で、死亡者は880人。一方、今年1月4~11日の平均は感染者が5万7851人、死亡者は933人。致死率が10分の1以下になっているので、断言はできないがデータを見る限りウイルスは弱毒化している可能性が高い。データを積み重ねれば、過度に怖れる必要はない」

「選手村を完全隔離すればいい」

 感染症を専門とする愛知医科大学循環器内科助教の後藤礼司氏は、感染リスクの徹底管理で開催可能と主張した。

「開催の意思はあるのに準備を尽くしていない政権への批判が五輪反対論につながっています。粛々と備えれば開催は十分可能です。まずやるべきは無観客開催の宣言と、選手の感染管理策を示すことです」

 具体的な対策として挙げるのが、アメリカのプロバスケットリーグ・NBAがプレーオフで実施した「バブル」方式だ。

「NBAはフロリダ州のディズニーワールドリゾート内に『バブル』と呼ばれる隔離地域を定め、選手と少数のスタッフを外部と遮断し、競技を行ないました。現在は全米での開催となり感染した選手も出ているが、バブル実施中はPCR検査での陽性者はゼロでした。

 感染者をバブルに入れなければ、選手やスタッフはコロナから隔絶される。オリンピック委員会は『選手は選手村と練習場以外の行き来ができないようにする』と約束しているので、それを徹底する。政府も開催意思が強いならせめてこのような具体策を示す。そうすれば国民からも世界からも一定の理解を得られるはずです」(後藤氏)

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