芸能

“土曜23時台”にドラマ4作が集中、なぜ最大の激戦区になったのか?

23時台で好評の『その女、ジルバ』(公式HPより)

23時台で好評の『その女、ジルバ』(公式HPより)

 冬ドラマがスタートする中、注目を集めるのが23時台から始まる作品だ。放送枠が次々に新設され、今クールでは力作が4作品も集中しているのだ。その背景とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 先週16日に第1話が放送された『書けないッ!?~脚本家・吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(テレビ朝日系)、『ここは今から倫理です。』(NHK)に続いて、1週間後の23日に『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日系)がスタートします。また、16日の1週間前にあたる9日には『その女、ジルバ』(東海テレビ・フジテレビ系)の放送もはじまっていました。

 これら4作の共通点は、「土曜23時台に放送されるドラマ」であること。現在、全国放送のドラマで放送時間がかぶっているのは、金曜22時台の『金曜ドラマ』(TBS系)と『ドラマ10』(NHK)だけであり、各局に「避けよう」という意識がある中、4作が放送される土曜23時台は間違いなく「最大の激戦区」でしょう。

 なぜ今、土曜23時台という遅めの時間帯が最大の激戦区となっているのか。なぜ4作も集まったのか。その背景や狙いを読み解いていきます。

4つすべてのドラマ枠が5年以内に新設

 まず「なぜ土曜23時台が最大の激戦区になったのか」を掘り下げる上でポイントとなるのが、それぞれの放送枠が成立した経緯。

 4つのドラマ枠で最も歴史が長いのは、『その女、ジルバ』を放送している『オトナの土ドラ』(23時40分~)。2016年3月、東海テレビは52年間に渡って放送した昼ドラを終了し、代わりに4月から新設したのが『オトナの土ドラ』であり、サスペンスとヒューマンを中心に見応えを重視した作品を放送しています。

 次に『モコミ』を放送するドラマ枠『土曜ナイトドラマ』(23時~)は、2017年秋のスタートから3年あまりが経過し、今冬で14作目。『おっさんずラブ』『M 愛すべき人がいて』『妖怪シェアハウス』のようなネットでの反響を意識した個性的な作品を連発しています。

『ここは今から倫理です。』を放送している『よるドラ』(23時30分~)は、2018年春にスタート。『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』『腐女子、うっかりゲイに告る。』『伝説のお母さん』などの野心的な作品を立て続けに放送して、「最も攻めているドラマ枠」と言われています。

 そして、『書けないッ!?』を放送するドラマ枠『オシドラサタデー』(23時30分~)は今月新設されたばかりのドラマ枠。前述した「『土曜ナイトドラマ』と合わせて30分ドラマを2作連続で放送する」というテレビ朝日の思い切ったトライが注目を集めています。

 4つすべてが5年以内に開設された歴史の浅いドラマ枠であり、「2010年代後半以降の土曜23時台にはドラマのニーズがある」という狙いで新設されたことは一目瞭然。だからこそ「放送時間がかぶるから」と回避や撤退はせず、「見応え重視」「ネットの反響狙い」「野心的な攻めた作品」という異なるコンセプトで棲み分けした上で放送しているのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
グラドルデビューした渡部ほのさん
【瀬戸環奈と同じサイズ】新人グラドル・渡部ほのが明かすデビュー秘話「承認欲求が強すぎて皆に見られたい」「超英才教育を受けるも音大3か月で中退」
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン