「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら(時事通信フォト)

「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら(時事通信フォト)

 実際に受けるべきかどうか、例えばかかりつけ医に相談するという手がある。だが、はたして自分のかかりつけ医の判断を信用していいのかどうか。次のような記事を読むと、その段階からして迷いが生じる。

 日経バイオテクという、バイオ専門メディアが〈新型コロナワクチン、早く打ちたい医師や業界関係者はどの程度いる?〉と題する記事を昨年の12月15日に配信していた。ワクチンが日本で利用可能となった場合、国内の医師や製薬・バイオ業界の関係者は早期にワクチンの接種を受けたいと考えているか、その調査結果を伝えるものだ。

 それによると、回答した医師6830人のうち、「早期にワクチンの接種を受けたい」と考えているのは35%、「早期に接種を受けたくない」は30%、「分からない」は35%だった。一般市民を対象としたアンケートでは、「早期にワクチンの接種を受けたい」人は10~13%だというから、35%はそれと比較するとかなり高いといえる。しかし、「早期に接種を受けたくない」+「分からない」と、早期接種に後ろ向きな医師は65%。医師の3分の2が乗り気ではないのだ。

 この調査では、回答の理由についても尋ねている。「早期にワクチン接種を受けたくない」と回答した医師たちの70%以上は、「ワクチンの安全性がまだ十分に検証されていない」を理由としている。次いで多かったのは、「ワクチンの有効性(発症予防効果)が十分に検証されていない」「有害事象が怖い」「安全性や有効性などのデータが相当蓄積されるまで数年程度様子をみたい」であった。つまり、多くの医師が、ワクチンの安全性について分からない、のである。

 医師が分からないことを、我々一般国民が分かるはずもない。その程度には謙虚に、いや、慎重に考えたほうがいい。では、遠からずやってくる受けるか受けざるべきかの判断はどうすればいいのか。

 それは、ワクチンを最も早く受ける予定になっている医療従事者等の接種結果を見て決めていくしかないと思う。そうでなくてもコロナ禍の負担が大きな彼らにワクチンの実験台にまでなってもらうというのは申し訳ないのだが、国民の多くはその実験結果を見ながら自分や家族の接種について考えていく。残酷なようだけれども、そういう現実が目の前にある。

 これから先、我々はより目を光らせなければならない。ワクチン接種を進めていく中で掴んだ情報を国がきちんと提供しているかどうかである。何年後、何十年後の体への影響まで分からないのは仕方ないとしても、接種後にどんな副反応がどのくらいの規模で出たのかは、事細かに知らせる責任が国にある。ワクチン政策を推し進めたいがためにボカしたり、隠蔽したりしている情報はないか。厳しく監視する姿勢が肝心だ。

 一方で、反ワクチンのイデオロギーみたいなもので、歪まされた情報が出回っていないかどうか。その落とし穴にも気をつけたい。政府の推し進めることに、なにからなにまで疑心暗鬼になる愚にも陥らないよう心がけたいものである。

 当たり前のことなのだけれど、情報を色眼鏡で見ないで、事実を事実として受け止め続ける。その眼力がこれから試される。

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