芸能

本領発揮の広瀬アリス 女子高生から恐妻まで演じ分ける振れ幅

広瀬アリス演じる“鬼嫁”に悩まされ…(時事通信フォト)

役者としての器用さが評価されている広瀬アリス(写真/時事通信社)

 関ジャニ∞の大倉忠義(35才)が主演を務める新ドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)が話題だ。既に放送された3話までの視聴率は6~7%台と芳しくないものの、SNSを覗くと「ワンオペ育児で感情的になる妻がリアル」「育児に非協力的なダメ夫の典型」といった共感の声が多く並ぶ。中でも、ヒロインを務める広瀬アリス(26才)に大きな注目が集まっている。映画や演劇などに詳しいライターの折田侑駿さんが、彼女の魅力について解説する。

 * * *
 この冬新たにスタートした『知ってるワイフ』は、韓国の同名ドラマのリメイク作。リメイクに際し多少の設定の変更が施されてはいるが、一組の夫婦をめぐって“本当に大切なことは何か?”という問いを描いている点は同じ。「自分の結婚生活はこんなはずではなかった。過去に戻って人生をやり直したい」と嘆く恐妻家の主人公・剣崎元春(大倉忠義)が、ある日過去にタイムスリップし、妻(広瀬アリス)を別の女性と入れ替わってしまう物語だ。

“恐妻”を演じているのが広瀬である。モデル業を活動の中心としていた時期から数えると10年以上のキャリアを持つ彼女は、いまや映画やドラマなどエンタメ界に欠かせない存在だ。コメディエンヌとしての才能を開花させた連続テレビ小説『わろてんか』(2017年)を皮切りに、“月9”でメインキャストの一人に名を連ねた『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(2019年)、主演映画『氷菓』(2017年)や『巫女っちゃけん。』(2018年)に続き、2020年には映画『AI崩壊』と『サイレント・トーキョー』でベテラン勢に囲まれながら重要なポジションを担った。ジャンルや作品の規模にかかわらず、とにかく引っ張りだこなのだ。

 今でこそ俳優としてのキャリアが正当に評価されている広瀬だが、かつては“広瀬すず(22才)の姉”ということばかりがフォーカスされていた。しかし、先に挙げた作品群からも分かるように、芸人や放射線技師、粗暴な性格の巫女、新米刑事など早くからさまざまなキャラクターに挑戦し続け、今では“何でも演じられる俳優”というイメージが広く浸透しているようだ。バラエティ番組などで見せる素の一面とのギャップも好評で、それがさらなる俳優としての評価にも繋がっているのだろう。

 そんな広瀬の演じ手としての器用さは、今作『知ってるワイフ』でも遺憾なく発揮されている。彼女は、瑞々しい女子高生姿から就活に苦労する大学生、感情的な恐妻、爽やかで理知的な社会人まで、年代や置かれている環境ごとに見事にヒロイン・澪を“演じ分け”ている。澪という一人の人間が年齢を重ねていくにつれての変化や、元春が過去を変えてしまったことによって見えてきた本来の彼女の可能性を、巧みに表現しているのだ。それぞれの澪があまりに乖離してしまえばこの物語のリアリティは失われてしまうはずだが、この不可思議な物語を成立させるため、広瀬が背負っているものは大きいと思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン