自粛やマスク生活による虫歯も増えているという(写真はイメージ)
生活様式の変化が招く身体機能の衰えはほかにもある。
みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太さんは、会話の減少による嚥下や呼吸機能の低下を懸念している。
「診察していると、明らかにコロナ自粛の影響でのどや肺の機能が落ちている人が増えたことを感じます。
人間は食べ物を飲み込んだりしゃべりながら唾液を飲み込んだりして、1日に600回ほど嚥下をしますが、自粛生活で人と会わず、会話する機会がなくなれば、それが300~400回程度に減ってしまう。たった1日しゃべらないだけでも、のどの機能は衰えてしまうのです。
また、声を発する機会が減れば口や舌、首のまわりの筋肉が衰えます。これにより滑舌が悪くなる、唾液の分泌量が減少するなどの変化が起こり、ものを飲み込む力はさらに弱くなります」
唾液の減少は虫歯リスクも上げる。実際、最近は“自粛虫歯”が増えていると言うのは、東陽町歯科医院院長の大谷直さんだ。
「家にいる時間が長ければ、食事の時間以外にもお菓子をつまんだり甘い飲み物を飲んだりと、四六時中、つい何か口にしてしまう人が多い。コロナの影響で、定期的に受けていた歯科検診に行けなかったという人もいます。マスクをしているうえ、他人と直接会う機会も激減したため口臭もあまり気にならず、気づいたら虫歯や歯周病が悪化していた、というケースは珍しくありません。
特に歯周病は、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病などの全身疾患を招くと考えられており、放っておくと生死にかかわる可能性もあります」
※女性セブン2021年2月11日号