国内

クラスター報告はゼロ 「西成・あいりん地区」の新生活様式

コロナにより大阪・西成の生活はどう変化した?

コロナにより大阪・西成の生活はどう変化した?

 背後にそびえ立つのは日本一の高さを誇るビル「あべのハルカス」──ここは結核や赤痢の罹患率の高さに悩まされてきた大阪・西成の通称「あいりん地区」だ。コロナ第3波が押し寄せるなか、この地でクラスター発生というニュースは聞かない。“緊急事態”のドヤ街の風景に、どんな変化が生じているのか。

 大阪市西成区萩之茶屋。日本最大の日雇い労働者の街といわれるあいりん地区の三角公園には、この日、50人近い路上生活者が集まっていた。カップ酒や酎ハイ缶を手にし、何をするでもなく、等間隔にベンチや花壇の縁石に腰を掛けている。

 公園でのマスク着用率は50%に満たないように見える。マスクをつけている人でも、あごまでマスクを下げたり、鼻を出していたり。あいりん地区に10年以上暮らしているという72歳の男性は「コロナは怖くない」と話した。

「オレは5年前に結核にかかった。死の病や。でも、薬で治った。オレの体の中にはいろんな菌が住んどる。コロナなんかには負けん」

 マスクはしないのかと尋ねると、こう答えた。

「緊急事態宣言? ワシらは毎日緊急事態や。宣言するまでもないわ」

 アーケード商店街に足を向けると、地面に弁当を置いて食べる人や座りこむ路上生活者の姿が。決して衛生状態が良いとはいえない。それでも、あいりん地区でコロナが多数発生したという発表はない。西成区役所保健福祉課の生活支援担当者はこう話す。

「第1波の時はクラスターをかなり心配しましたが、コロナ患者はそれほど多くありません」(区ごとの感染者数は非公表)

 結核罹患率が全国平均の約15倍といわれているこの街で、なぜコロナは感染拡大しないのか。現地の生計困難者のために無料・低額診療を続ける大阪社会医療センター付属病院の工藤新三副院長はこう話す。

「あくまで推測ですが、一人暮らしが多いからではないでしょうか。元々密になるようなつながりがある人は少ない。検診に来る生活保護者の中にも、“コロナが怖い”と言って家にこもる人が増えています」

関連記事

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン