国際情報

対話ができない韓国・文在寅大統領 静かに末路を見守るのが現実解

日韓関係、今後はどう対応する?(イラスト/井川泰年)

日韓関係、今後はどう対応する?(イラスト/井川泰年)

 日本にとって隣国、韓国との関係がどのような状態にあるかは、様々な面で大きな影響をおよぼす。文在寅氏が韓国大統領になってからというもの、政治も経済も話し合いが成立しない状態が続いている。経営コンサルタントの大前研一氏が、韓国に対し、日本はどのような態度で臨めばよいのか、考察する。

 * * *
 韓国の文在寅大統領が年頭の記者会見で、ソウル中央地裁が日本政府に元慰安婦への賠償を命じた判決に「少し困惑している」と述べたことが大きな議論を呼んでいる。元徴用工問題についても、韓国最高裁の判決に従って進められている日本企業の資産売却手続きに「望ましくない」と疑問符をつけ、日本に配慮するような姿勢を見せた。

 これは文大統領の支持率が30%台で低迷していることと無関係ではないと思う。1月14日発表の世論調査結果は38.6%だった。

 支持率低迷の原因は複数ある。まずは価格高騰が続く不動産問題に対して国民の不満が高まっていることだ。また、新型コロナウイルス対策も、当初は韓国独自の「K防疫」が功を奏したが、日本と同じく第三波で感染者が急増した上、ワクチン確保の遅れが露呈。さらに、検察との対立が泥沼化して国民に「謝罪」するという失態が重なり、支持率が急落したのである。

 また、文大統領は昨年9月の国連総会で、国連が北朝鮮に対する経済制裁を行なっているにもかかわらず、休戦状態にある朝鮮戦争について「完全な終戦を成し遂げなければならない」「南と北は生命共同体」などと演説。南北の軍事境界線一帯に広がる非武装地帯(DMZ)を「国際平和地帯」にして北朝鮮の安全を保障するという構想を提案し、北朝鮮に秋波を送った。

 文大統領は、韓国人や日本人を拉致した金正日前総書記の息子である金正恩総書記と板門店で会談した際、笑顔で握手を交わしていた。義兄の金正男氏を暗殺し、叔父の張成沢氏も処刑した血塗られた独裁者と平気でそういうことができる神経の持ち主であり、頭の中が世界と“共振”していないのである。

 これを善意に解釈すれば、北朝鮮に対する警戒心や抵抗心が小さく、南北統一に熱心なだけかもしれない。だが、もしかすると自分が北朝鮮と平和条約を締結して南北統一を成し遂げ、金大中元大統領と同じようにノーベル平和賞をもらって名を残したいという下心があるのかもしれない。

 ただし、今のところ文大統領に「業績」と言えるようなものは何もない。

 たとえば、中国が台頭して産業や観光などが中国人頼みになってきたら、露骨に中国にすり寄った。しかし、米軍の迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」の韓国配備問題で、自国の弾道ミサイルが無力化されることに激怒した中国の経済制裁を受けると、「THAADは第三国を狙うものではなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわない」と約束して“全面降伏”してしまった。

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」