恋愛・婚活研究家で結婚相談所マリーミー代表の植草美幸さんが話す。
「いま、ひとり暮らしでパートナーがいない人の寂しさは募るばかりです。万が一、コロナに感染したら、最悪孤独死するかもしれないという恐怖もある。そんななか、支え合える家族を求める人が増えているのです。
過去を振り返っても、リーマン・ショックや東日本大震災など、大きな災禍に見舞われたときは、決まって婚活人口が増えています」
東京大学大学院客員研究員で医師・疫学者の上田ピーターさんは、コロナで独身生活の利点が減ったのではないかと指摘する。
「『独身貴族』という言葉もあったように、コロナ以前、シングルは趣味や娯楽を楽しむ機会が多かった。しかし、そんな生活が制限されるようになった一方、既婚者は家族とともに過ごす時間が増えています。独身生活の利点が減るとともに、家庭生活の魅力が増しているといえます」
そこで、恋人探し以上に盛況なのが、ネットを利用した婚活だ。昨年4月の緊急事態宣言発出以後、「オンラインお見合い」の需要が一気に増している。
「感染リスクを下げるため、多くの婚活サイトやマッチングアプリが、Zoomなどを使ったオンラインお見合いを導入しています。住まいが遠くても距離を感じず、デート代がかからないというメリットもある。
なかには、オンラインで交際を重ねて、初めての“リアル”のデートでプロポーズしてご成婚されたカップルもいらっしゃいます」(植草さん)
オンラインなら、家にいながら運命の人を見つけられるが、負の側面もある。いくら顔が見えるといっても、画面越しではウソや誇張が見抜きにくい場合もあるからだ。
「恋愛に不慣れな人は、何度も話をするうちにすっかり相手を信用してしまい、言われるがままにお金を貸してしまったり、自分の裸の写真を撮って送ってしまったりすることがあります。孤独を感じている人ほど、優しい言葉をかけられるとダマされやすいのです」(植草さん)
マッチングアプリは、本気度の高い人が増えている一方で、こうした遊び目的の利用者も増え、両極化している。
「これまでは利用者の大多数を占めていた“もしいい人がいたら出会いたいな”というライト層は恋愛どころではなくなり、ごっそりいなくなりました。
いまはアプリのプロフィール欄に“密を避けるため、デートはホテルで現地集合!”などとあけすけに書いている人も目立ちます。以前からは考えられないくらい、同じ目的の人が集まってくる。こうした“ヤリ目(カラダ目的のこと)”の人を見分けやすくなった分、真剣交際を求める人は、より相手を探しやすくなったともいえます」(トイアンナさん)