国内

美女になれるAIフィルターアプリで沼にハマる人、騙される人

AIフィルターのおかげで冴えない中年男性も不自然さがない美女になれる(イメージ)

AIフィルターのおかげで冴えない中年男性も不自然さがない美女になれる(イメージ)

 パソコン通信の時代から、ネット上だけで異性のふりをする、なかでも、女性のふりをする男性はいた。そこに、近年、進歩が目覚ましいAIや画像加工技術が加わったことで、変身願望が叶うとしたら、人は何をするか。ライターの森鷹久氏が、自然な女性化・男性化が手軽にできるアプリの沼にハマった人たちについてレポートする。

 * * *
「完全に女性だと思ってましたよ、私も何度か応援メッセを書き込んだんですが、それが中年男性だったとしたら……自分の軽率さを恨みます」

 バイクが趣味という都内の大学院生・吉田コウキさん(仮名・25才)が落ち込んだ様子でこう話す。SNS上で数千のフォロワーを持つ美人女性ライダーの正体が、実は「中年男性」であったのではないか、そんな疑惑が持ち上がったからである。その人気アカウントを、吉田さんもフォローしていた。

「男性が女性顔に、女性なら男性顔に自分の顔を変えることができるアプリを使い、男性が女性のフリをして投稿していたのではないかと言われています。すごい美人で、でも乗っているバイクはすごく渋くて、そのギャップがたまりませんでした。こんなすてきな女性がいるんだと思ったんですがね、幻だったとは」(吉田さん)

 わからない人には、何を言っているのか意味が不明だと思われるので、先に事情を説明しておこう。

 スマホで撮影した顔を、男性化または女性化の加工ができるアプリが一昨年、SNSを中心に大流行したことを覚えているだろうか? AIフィルター技術を使ったこのアプリを使うと、顔写真にヒゲをはやしたり、髪型を変えたり、すっぴんにメイクをさせたり、老け顔、若返りなどの加工をすることができる。このアプリでできることは多岐に渡るが、なんといっても一番話題を呼んだのが、どんなオッサンでも美人風やかわいい風の女性へ(その逆も可能)変身できてしまうという、ユニークな機能。こうした機能は、昔の不気味なモンタージュ写真の如く、変身できたとしても不気味な様相のモノが出来上がるだけ、というのが相場だったが、ブームになったそれは、ほとんど違和感のない仕上がりになるのが特徴だった。つまり、加工された架空の人物写真なのに「本当に存在していそうな」人の写真を作ることができるのである。

 先の美人女性ライダーが実在していたのか、本当は加工アプリによって生まれた元は男性だったのかは神のみぞ知る、ということで言及はしないが、ネット上で異性になりすまし、他者の反応を楽しむ行為というのはインターネットが一般的に普及する前から存在していたし、最近では「中の人」がおじさんであることを承知で架空の女性キャラクターを楽しむ人たちすらいる。ただ、近年の技術革新に乗っかり、単なる「遊び」が行き過ぎてしまい、暴走する人、犯罪に使おうという人々が出始めている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン