「ワンルーム屋」の春は終わる
ここ10年ほど、日本の景気は悪くなかった。コロナ以前は「人手不足」というのが産業界の共通認識ではなかったか。賃金はさほど伸びなかったが、雇用は安定していた。
この間、ワンルーム屋さんたちは大いに業績を伸ばした。ワンルームを専門に売る営業マンは、20代にして年収が2000万円超というケースも珍しくない。もちろん経営者も大いに儲かったであろう。某人気女優と婚約するのではないかと噂されている「不動産会社経営」の青年実業家も、実のところワンルーム屋である。
しかし、そろそろワンルーム屋の春も終わりそうな気がする。
その理由は、いうまでもなくワンルーム購入者たちの賃貸経営不安定化である。家賃を払ってくれる人がいないワンルームは、ただの“負動産”である。
テレワークもワンルーム離れを加速させている。20平方メートル台の狭い空間の中で仕事もプライベートも完結させることにストレスを感じる人が増えている。彼らは都心やその近辺のワンルームから、郊外の広くて部屋数の多い住まいへと流れている。
東京カンテイが今年1月に発表したプレスリリースによると、東京や神奈川における分譲マンションの賃料が小幅ながら下落しているという。ワンルームマンションの賃貸経営にはアゲインストの風が吹き始めた。
この先、ワンルーム屋さんたちには厳しい経営環境が待っているのではないか。