死に至る事故を起こす可能性があると知りながらも、私たちはなぜスマホから手を離すことができないのか。認知症の専門医で「もの忘れ外来」を開設する奥村歩さんはその理由を「ドーパミン」にあると分析する。
「スマホをタップして情報を得ることでドーパミンが分泌される。ドーパミンは脳内伝達物質のひとつであり、分泌されることで快感や興奮が得られます。依存症は、手っ取り早くドーパミンが分泌され、その快楽が得られる状態から抜け出せないことで起きるのです」
ハンセン氏の研究によれば、ドーパミンが最も活性化するのは未到の地や未知の人、足を踏み入れたことのない環境など「新しいもの」に対峙したときだという。この「新しいもの」への欲求こそが人間を突き動かし、数々の発明や文化の発展を生み出したといえるが、いまやその欲求はスマホに吸い取られてしまっているのだ。
※女性セブン2021年3月4日号