国内

詐欺師の標的は「欲深い人」 コロナワクチン接種でも狙われる

新型コロナウイルスのワクチン接種をかたる新たな詐欺の手口に注意を呼び掛けるポスター[兵庫県警提供](時事通信フォト)

新型コロナウイルスのワクチン接種をかたる新たな詐欺の手口に注意を呼び掛けるポスター[兵庫県警提供](時事通信フォト)

 消費者庁が、新型コロナウイルスのワクチン接種に便乗して官庁になりすまし、ワクチン接種のために必要だと金銭や個人情報をだまし取ろうとする電話が相次いでいると注意喚起を行っている。オレオレ詐欺を彷彿とさせるこの犯罪は、やはり同じ系統の詐欺グループが関与しているようだ。特殊詐欺に詳しいライターの森鷹久氏が、ワクチン詐欺で狙われるのは、どんな人たちなのかについてレポートする。

 * * *
「詐欺師」たちが狙うのは、絶望の淵に立ち、今にも命を投げ出さんばかりの、追い込まれた人たちではない。そんな人たちを狙ったところで、詐欺師たちが得をすることは何もないだけでなく、後味も悪いからだ。

「狙うのは一言で言えば『欲深い人』。欲と言うのは、持たざる人より持っている人の方が強い。欲深い人から盗るのは、心もそれほど痛みません」

 こう話すのは、かつて特殊詐欺の指示役として活動し、6年前に「老夫婦から350万円を騙し取った」として、実行役の「受け子」が逮捕されたのちに自身も検挙されたという末永良平氏(仮名・30代)。実は末永氏本人も、元々は「持たざる者」であったことを告白しつつ、特殊詐欺がなくならないどころか、今後さらに増えていくし、コロナ禍によりその機運が高まりを見せていると考える理由を説明する。

「私の詐欺の原点はリフォーム詐欺でした。片親で、地元の底辺高校をなんとか卒業したものの、仕事もせずプラプラしていた時、地元の繋がりで先輩の仕事を手伝い始めたのが最初です。当時は仕事がまさか詐欺だとは思っておらず、先輩からも年寄りのためになる仕事だと説明され、疑いもしませんでした」

 末永氏が手を染めていたのは、高齢者宅に必要のない、もしくは効果の疑わしい「床下換気扇」を設置させ、実際にかかった商品代や工事費よりも大幅に高い額の請求を行うというもの。当時は同じような会社が関東や関西に林立し、関係者が逮捕されニュースになることもあった。

 報道を見た末永さんは、仕事について当然、疑念を抱くことになる。何より、両親が離婚し父親に引き取られた後、小学校から高校時代まで、末永さんの面倒を見てくれたのは祖母である。祖母と同じくらいの年齢の高齢者を騙し続けることは耐えられなかった。そんな時、詐欺の仕事に誘ってくれた先輩は、いつも次のように繰り返した。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン