国内

落合陽一氏「たとえ感染が収束してもコロナ前に戻す必要はない」

落合陽一氏が見据えるコロナ後のライフスタイルとは?

落合陽一氏が見据えるコロナ後のライフスタイルとは?

 新型コロナウイルスの感染拡大はデジタル化の遅れなど、日本社会の様々な問題点を浮き彫りにした。危機をきっかけに、この国はどう変わっていけばいいのか。若い世代を中心に絶大な支持を集めるメディアアーティスト・落合陽一氏に、コロナ後の社会を見据えた取り組みについて、話を聞いた。

 * * *
 昨年から猛威を振るった新型コロナウイルスは、人々の生活に多くの影響を与えています。健康面でも経済面でも多くの被害が出てしまいました。

 でも、悪いことばかりではありません。この危機は日本社会に大きなチャンスをもたらした面もあります。

 昨年4月の緊急事態宣言以降、在宅勤務やテレカン(遠隔会議)などが当たり前の世の中になりました。私自身、今朝は8時から8時半まで会議、8時半から9時半まで大学の授業、9時半から会社の取締役会……といった具合に、すべてオンラインで隙間なく仕事を詰め込んでいます。この取材が始まる1分前まで、講演をやっていました。

 オフラインだったら、最低でも移動に30分程度はかかります。移動時間ゼロでスケジュールを組めるのは、本当にすばらしい。1時間で15分のミーティングを4つこなすこともできる。昔は、超売れっ子の芸能人や総理大臣でも、こんな働き方はできなかったでしょう。

 いくらでも忙しくできてしまう分、ストレスの管理や運動不足の解消などが課題になりますが、これだけ時間の効率が高まれば、そのためのゆとりも作りやすくなるのではないでしょうか。

〈最先端のテクノロジーを駆使するメディアアーティストとして「現代の魔法使い」の異名を持つ落合陽一氏は、1987年生まれの33歳。筑波大学准教授、デジタルネイチャー開発研究センター長を務める研究者であり、内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員などを歴任する時代のキーマンだ。ネットメディアなどでの積極的な発信も、世代を超えて注目を集めている〉

 オンライン中心の働き方は、技術的には少し前から可能になっていましたが、コロナ禍がなければこれほど急速に広まらなかったでしょう。富士通やヤフージャパンなど、出社を基本的にやめてしまった企業はたくさんあります。いちいち満員電車に乗ってオフィスに行かなくても多くの仕事は成り立つとわかってしまった。たとえ感染が収束しても、元に戻す必要はありません。

「ワーク・ライフ・バランス」を考えるどころか、「仕事=人生」にしてしまう企業文化で生きてきた世代の人は、会社に行かないと仕事をした気にならないのかもしれません。でも、本来は歳を重ねた人ほど移動の負担がなくなるテレカンのほうが楽なはず。もちろん、人と会って飲み食いするのは楽しいし、飲食店も大変ですから、それは元に戻ってほしい。でも仕事で対面にこだわる必要は、もうなくなると思います。

※週刊ポスト2021年3月12日号

“自動運転”の実験の様子(落合氏が主宰するデジタルネイチャー研究室HPより)

“自動運転”の実験の様子(落合氏が主宰するデジタルネイチャー研究室HPより)

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン