芸能

水川あさみは「乱反射女優」 『ナイルパーチの女子会』で新境地

水川あさみも映画に出演

クセの強い役も好演

 カメレオン俳優という呼称はおもに若手男性有望株への呼称として定着しつつある感もあるが、当然ながら女優にもそうしたタイプは存在する。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
『喜劇 愛妻物語』で毎日映画コンクール女優主演賞、『滑走路』と『喜劇 愛妻物語』で第94回キネマ旬報ベスト・テンや第42回ヨコハマ映画祭主演女優賞を獲得し絶好調の水川あさみさん。『喜劇 愛妻物語』は貧乏な夫婦が旅する物語で、うだつの上がらない夫に罵声を浴びせる妻を演じ、見事に栄冠を手にしました。

 かと思えば……資生堂アネッサの新CMでミューズに就任したばかり。誰もが認めるクールビューティーのイメージを維持。その一方で、「愛情一本!」で知られるチオビタドリンクのCMもインパクト大。こちらは寝起きのスッピン風で「私のウインナー、1本多いよ」「愛って意外なところにある」とウインナーを通して愛のありかを表現してみせる。

 貧乏な妻、大手化粧品のCMミューズ、そしてサラリーマン御用達の栄養ドリンクまで、振り幅がすごい。考えてみれば水川あさみという女優は不思議な存在です。売れっ子は何人もいるけれど、ここまで幅広く男・女に訴求できる人ってなかなか見当たらないのではないでしょうか?

 水川さんのビジュアルは切れ長の目に整った鼻筋で、メイクをすれば正統派美人。一方、性格的にはさばっとして爽快感があり、気取らない素顔が女性にウケる。日常感覚も持ち合わせていてそこらへんにいるおばちゃんにもなれる。

 イマどき男に媚びるだけの女優なんて相手にされないし、しかし開き直りすぎて個性派だとコアなファンはついても性別を超える幅広い人気にはつながらない。という意味で、全方位外交をできている水川さんは希有な存在です。しかも戦略を練っているという嫌らしさを感じさせず、とにかく一回ずつ目の前の役柄に全力投球している感じが、いい。つまり、最大の強みは「水川あさみ」という人のイメージが、一つに結ばないこと、固定化していないことでしょう。

 その好事例として、今まさに奇妙な人物に成りきっているドラマが『ナイルパーチの女子会』(BSテレ東・土曜日午後9時)です。原作は山本周五郎賞・第3回高校生直木賞を受賞した柚木麻子の同名小説。タイトルの「ナイルパーチ」は肉食魚で、いわば自分が棲む領域の他者を喰っていく、狂気じみた存在を暗示しています。

 ドラマの中で水川さんが演じているのが、美人キャリアウーマンの栄利子。仕事もバリバリこなし、プロジェクトも任されている。その栄利子とは対照的な、怠惰な専業主婦のブロガー翔子(山田真歩)と「友達」というキーワードでつながり始めると、次第に狂気が露出してくる。

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン