芸能

吉沢亮の『青天を衝け』が世界的人気の海外ドラマに学ぶべき点とは

大河ドラマの1年でどんな変化を見せてくれるか(時事通信フォト)

大河ドラマの1年でどんな変化を見せてくれるか(時事通信フォト)

 コロナ禍で制作は困難を極めているはずだが、今作のNHK大河の勢いはそれを感じさせない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 期待値の高さなのか。例年より1ヵ月遅れでNHK大河ドラマ『青天を衝け』(日曜午後8時)がスタートすると、「初回視聴率が20%の大台に乗った」と話題に。報道によると綾瀬はるか主演『八重の桜』以来何と8年ぶりの快挙とか。すでに第4話まで放送されましたが、まず走り出しで鮮烈な印象が刻まれました。それは数字などではなく、贅沢な布陣による「役者を見る至福」です。

 物語の主人公は……江戸・明治・大正・昭和と激動の時代を駆け抜けた「日本の資本主義の父」渋沢栄一。演じるのは若手のホープ、“国宝級のイケメン”の異名をとる吉沢亮。その栄一の妻になる尾高千代には、朝ドラ『あまちゃん』でダブルヒロインの一人として輝きを放った橋本愛。そして父の市郎右衛門に、いぶし銀役者の筆頭、小林薫、母・ゑいには和久井映見、栄一の片腕となる従兄・喜作に高良健吾が配置されていて、もう文句なしの演技派揃い。

 そして第4話で圧巻の存在感を見せたのが、江戸最後の将軍・徳川慶喜を演じる草彅剛です。ただ佇んでいるだけ、横顔を見るだけで「お殿様」の威厳と品格とが伝わってくる。これを役者を見る至福と言わずして何と言いましょうか? しかも側近・円四郎に堤真一、父の斉昭には竹中直人、そして高島秋帆に玉木宏、橋本左内に小池徹平……とたまらないキャスティングで幕開けです。

 印象的なのはキャスティングだけではありません。

 冒頭の演出がこれまた凝っています。すでに遠い過去の人である徳川家康が堂々と出てきて「こんばんは、徳川家康です」と挨拶、幕末という時代背景について解説してくれるのですから。時を俯瞰し複雑な状況を分かりやすく整理する役回りとして、家康を登場させる手法はアッパレ。演じる北大路欣也も板についている。家康は何と最終回までほぼ毎回登場する予定だとか。

 その上、解説パートで説明だけに終始しない点もすごい。例えば床に敷かれた1枚の白い大きな布が地図や国旗に変わったり、背景の松の絵のふすまが数枚のパーツとなって黒子によってひっくり替えされ移動するとたちまち外国人の顔になったり。動かしたり裏返したり上空に浮かせたり。いわば「舞台的」な演出が目を惹きます。

 「舞台的」というのは、実際のモノ(例えば板や布、紙など)を使って空間をめくるめく変化させていくローテクな手法です。もし、これが「映像的」な演出となればレンズの画角や視点を替えたりCGを使って画像処理したりとなるわけですが、実際の舞台ではまさしくローテクが決め手で、その面白さを大河ドラマの冒頭に活用した斬新さがいい。

 ただ、ちょっと残念な点も浮き彫りになってきました。

 毎回これほど凝った仕掛けを使い、退屈になりがちな説明を上手く聞かせる工夫をしているのに……なぜか本編が始まると、またくだくだと説明的なセリフを役者に語らせてしまう。

関連記事

トピックス

イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
デビュー25周年を迎えた後藤真希
デビュー25周年の後藤真希 「なんだか“作ったもの”に感じてしまった」とモー娘。時代の葛藤明かす きゃんちゅー、AKBとのコラボで感じた“意識の変化”も
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
ものづくりの現場がやっぱり好きだと菊川怜は言う
《15年ぶりに映画出演》菊川怜インタビュー 三児の子育てを中心とした生活の中、肉体的にハードでも「これまでのイメージを覆すような役にも挑戦していきたい」と意気込み
週刊ポスト
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン