芸能

『うっせぇわ』大ヒットのAdo “正体不明”が価値を生む理由

ああ

『うっせぇわ』の再生回数は1億回を突破(公式YouTubeチャンネルより)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、今若い世代を中心に絶大な人気を集めている女性シンガー・Adoについて。

 * * *
 ランドセルをしょった小学生たちが「うっせぇ、うっせぇ」と声を張り上げながら前を歩いている。「うっせぇ」と言い合いながらも、みんなはしゃいで楽しそうだ。社会現象になっているとメディアで取り上げられていた『うっせぇわ』は、こんな風に子供たちにも浸透していた。

『うっせぇわ』は、女性シンガー・Adoのメジャーデビュー曲だ。昨年10月23日にリリースされ、YouTubeにミュージックビデオ(MV)が公開されると148日で再生回数が1億回を突破したという。リリースからわずか5か月で社会現象になってしまうのだから、そのインパクトは凄い。

 パンチの利いた歌声と耳について離れない「うっせぇ」というサビのフレーズ。誰もが一度は感じたことがありそうな社会や大人への不平不満、反抗心や憤り、わだかまり、イライラ、そんなものが歌詞になり曲となり、付きつけられるように迫ってくる。共感できれば、自身が抱えているストレスが発散されるような曲だが、共鳴できなければ耳障りなだけの“うっせぇ”曲だろう。
 
 楽曲もさることながら、Adoは正体がわからないことでも注目されている。MVに顔を出していないのだ。わかっているのはまだ18才の少女で、先日高校を卒業したばかりということ。黒を基調にしたMVの映像に出てくる、長い黒髪をひとつに束ね、切れ長の強い目にセーラー服風のファッションに身を包んだ少女のアニメアイコンはインパクト大。アイコンの少女は感情をぶつけてくるように表情を変え、画面から飛び出てくるような演出で、曲が持つ世界感やイメージを表現している。

 ここ数年、素性を明かさないアーティストが増えてきた。以前なら、顔を見せるのはコンサートやライブというのが露出の少ないアーティストのパターンで、メディア嫌いという理由が多かった。だが、今ではその顔すら見えてこない。正体不明にする理由はそれぞれだろうが、メディアが多様化したことで、テレビよりYouTubeやInstagramを主戦場することが可能となった。もはや顔が見えないことが新しい価値を生むような時代になってきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン